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強制連行同胞・北海道に14万5千人

道が実態調査報告書を発刊



北海道が発刊した調査資料集

過酷労働浮き彫りに
企業資料など綿密に分析

 【北海道】第二次大戦中に北海道に強制連行された同胞の実態をまとめた調査報告書『北海道と朝鮮人労働者』がこのほど、北海道保健福祉部によって発行された。多方面の調査を総合して、道内に強制連行された同胞は全国の二〇%、十四万五千人と推計した。膨大な資料によって炭鉱、鉱山、土木工事など日本の戦時労働力として同胞が連行された過程が如実に記されている。

 調査によると、これまでの各種資料を綿密に検討しながら北海道に強制連行された同胞数をほぼ十四万五千人と推計した。これは全国比二〇%と福岡県と並んで全国で最も多い。

 大半が炭鉱、鉱山、土木工事に従事し、過酷な労働を強いられていた状況を浮き彫りにしている。特に炭鉱では四四年以降、同胞が全炭鉱労働者の四〇%を超え、落盤・ガス爆発事故などの危険が伴う坑内夫は六〇%にも上った。炭鉱では氏名と死因が判明する同胞死亡者の八割以上が事故死であった。土木建設労働者も半ば以上が同胞であったと推定している。

 労働中の死亡者についても二千十五人が確認されたが、総数は特定できなかった。中には、棍棒やスコップで殴られる、いわゆる「ヤキ入れ」で死亡した例も当時の新聞記事を引用しながら明らかにしている。

 道内への同胞移入についても、「集団募集」が過酷で危険な労働と分かったために動員割当数を充足できず、行政が介入した強制的な性格を持つ形式にと移行していく実態も明らかにされた。

 報告書発刊の契機は、九〇年に韓国政府から戦時朝鮮人徴用者名簿の調査依頼があったことから。九二年には民団北海道本部なども調査を求めていた。

 北海道の調査依頼を受けて九四年に調査実行委員会(委員長・永井秀夫北海学園大教授)が発足し、三年にわたる各種資料調査を経て、聞き取り調査を加味しながらさらに二年をかけて編集した。当初予定を大幅に上回るA四版六百ページを超える資料となった。

 発刊にあたって永井委員長は「強制連行の実態や朝鮮人労働者の生活の実情を詳細に調査し、記録することはこの地域の責任」としている。また調査が韓日両国の植民地時代の歴史認識を共有する上でも有意義であると言う。

 これまで発刊された他の自治体の報告書とは違って、労働力として採用する側の炭鉱や鉱山、土木建築企業の内部資料やGHQの関係資料が綿密に調査されている点やこれまで明らかになっている資料とこれらを突き合わせ、様々な分析を加えながら、より真相に近づいた数字などをはじき出している。

 一方、民団北海道本部も、調査の中で、聞き取り調査や資料提出などで協力してきた。

(1999.04.14 民団新聞)



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