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東京韓学、在日同胞児童数が増加

新入生の半数を占める



今年の初等部1年生は56人中27人の
在日同胞子弟が入学したか(4月8日の入学式で)

「オリニ土曜学校」で効果
ウリ学校での教育、父母らが認識新た

 四月を迎え、各地方の民族学校で新学期がスタートした。東京韓国学校・初等部では一年生五十六人が入学したが、そのうち二十七人が日本生まれの在日同胞という、新しい動きを見せている。ここ数年、同校では本国駐在員の子弟が急増し在日同胞の児童・生徒数の減少が指摘されていたが、ようやく本来の民族学校の姿を取り戻そうとしている。


■きずな芽生える

 東京韓国学校(孫相テツ校長、孫性祖理事長)の今年度の新入生のうち、初等部には五十六人が入学した。そのうち約半数にあたる二十七人が日本生まれの在日同胞で占めるようになった。

 この現象には、同校が六年前から始めた、「オリニ土曜学校」の成果がある。二十七人の在日同胞子弟の内、十六人がこの土曜学校に通った子どもたちだ。

 「オリニ土曜学校」は日本の学校に通う在日子弟や幼児たちのために毎週土曜日に韓国語や文化などを教える新しいスタイルの民族教育の場である。


■80年代から減少

 同校のこれまでの新入学生の動向を見ると、在日同胞子弟と本国出身子弟との児童・学生数が逆転したのは一九八〇年代のはじめだ。

 その理由はこの時期、韓国の高度経済成長を起点に韓国企業の日本進出が盛んになり、駐在員数も一気に増加。短期間で帰国する彼らにとっても子弟たちが韓国語で教育を受けられる唯一の学校だったからだ。

 最近の統計によると在日同胞の割合は一三%程度で初等部だけに限ると、一割にも達しない事態になっていた。特に九四年度の初等部新一年生入学数はたった一人という状況もあった。

 「このままでは、完全に駐在員子弟のための学校になってしまう。在日同胞の児童・生徒を増やし、本来の在日同胞のための民族学校をめざそう」と学校関係者や教育関係者が熱心に努力した。そこで企画されたのが九三年秋にスタートした「オリニ土曜学校」だ。


■新築の校舎活用

 九〇年に新築した新校舎をフルに活用し、日本の学校に通う在日三・四世の子どもたちが共に集い、本名を名乗り、韓国語や文化を植え付けるための「学びの場」の提供だ。

 「土曜学校」は前期と後期の二回、それぞれ六カ月間を一期として開講してきた。九三年の開講以来、これまで約七百人の同胞児童が「卒業」したほか、毎期、百五十人以上が受講しているほどの人気ぶりだ。

 「地理的な関係で韓国学校には通えないが、土曜日だけだったら連れて来られる」と首都圏の同胞たちには大好評で、子どもたちも「韓国人の友だちと会えるのが楽しみ」と九三年の開講以来、継続して通っている子もいる。

 そして、「こんなに立派な校舎がある」「同胞の仲間と共に学ばせたい」と親たちの東京韓国学校に対する認識変化が現れた。

 まさに、今年の在日同胞児童・生徒の増加は六年間継続してきた「土曜学校」の成果が実ったものだ。

 孫校長は「在日同胞の子たちが国際社会で尊敬される人材として育つためにもどの学校にも負けない最新の教育設備を導入している。土曜学校は教職員だけでなく、学生、学父母が一体となって努力してきた。その成果が実り始めたことは本当にうれしい」と話していた。

(1999.04.14 民団新聞)



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