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民団愛知の「生活相談室」

団員の悩みにこたえて21年



団員の悩みにこたえる生活相談は21年目を迎えている

■相談、1600人超す
 在日含む弁護士6人が対応

 【愛知】団員の様々な生活上の悩みに答えようと続けられてきた民団愛知県本部(権泰洙団長)の無料「生活相談室」がこの五月で二十一周年を迎える。「共に考え、共に解決の糸口を探る」をモットーに週一回開かれる相談室を利用した団員はすでに千六百余人にのぼる。相談室を通じて問題解決ができたケースも多く、愛知団員の大きな味方として歩み続けている。

 生活相談室が開設されたのは七八年五月二十八日。当時、民団が進めていた行政差別撤廃運動と平行して、在日同胞一人ひとりの法律上の悩み、被差別問題を個別的、具体的に解決する団員サービスの必要性が高まったため、民団県本部内に常設機関として設置した。法律相談ではなく生活相談という名称にしたのも、法律問題だけにとどまらず団員らの民生安定と地位向上を目指す権益擁護運動の一環として位置付けたためだ。

 相談室を開設するに当たって、担当弁護士の選定から暗礁に乗り上げた。東京には同胞弁護士がおり、関西でも韓国の法律に精通した日本人弁護士が存在したが、愛知では専門家も皆無に等しかった。開設の二年前に大阪で行われた「在日韓国人の差別問題を考える」シンポに参加した名古屋在住の弁護士と出会ったことから、同期の司法修習生にも呼びかけた。

 「民団とは」「在日の歴史と現状」「生活相談室のありかた」などについて何度も論議を重ね、三十代の気鋭の日本人弁護士五人を専属相談員に選定した。開設当初から担当していた小沢純二弁護士が他界し、一部入れ替えはあったものの、今では在日同胞弁護士も加わり、六人が担当している。

 団員からの相談内容も多岐にわたっているが、在日同胞を取り巻く社会情勢や時代を読みとることができる。相談の中で最も多いのは相続問題で三百十二件にのぼる。相続に関する韓国の民法は七七年と九〇年に改正されたことと一世から二世への物理的な世代交代の真っ最中にある状況が反映されている。

 次いで離婚問題の二百六件、三番目には自動車発達に伴って交通事故が百三十九件となっている。

 四番目の「外国人登録・出入国管理法上の問題」で百二十五件。開設当初は外国人登録証の不携帯による罰金に関する相談が際立ったが、昨今ではニューカマーの在留資格に関する相談が伸びている。この他「借地・借家」百十四件、「損害賠償」九十二件、「戸籍」七十七件などがある。

 最近は特に、雇用や破産、生活保護など社会・経済問題が目立ち、日本の経済不況が在日同胞社会を直撃している状況を如実に示している。

 民団愛知の担当者は「団員に対する民生サービスとして定着してきたが、同胞一人ひとりの悩みを組織が親身になって考え、取り組むところから組織活動が始まる」と意欲的だ。

 相談室は毎週金曜日の午後二時から五時まで開かれるが、利用する場合は支部を通じて予約が必要。

(1999.04.21 民団新聞)



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