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韓国流浪の芸術集団

「男寺党」が来日公演へ



伝統の人形劇、「朴僉知(パクチョムチ)ノリ」

■人間国宝ら21人が来日
 29日に奈良で公演

 新羅時代初期から旧韓末まで流浪の芸能集団として民衆に娯楽を提供してきた男寺党(ナムサダン)の来日公演が二十九日、奈良県橿原市の「かしはら万葉ホール」で行われる。七九年の日本初公演以来、数度にわたって来日公演を行っているが、人形劇をはじめとする男寺党の演目六種類が公演されるのは九二年以来七年ぶり。人間国宝を含めて男寺党ノリ保存会のメンバーら二十一人が来日する。

 男寺党ノリのうちサムルノリなど部分的な日本公演は行われてきたが、男寺党のレパートリーのほとんどを公演するのは久しぶりのこと。今回の公演には人間国宝で男寺党ノリ保存会のパク・ケスン会長を含めて人間国宝三人も来日する。

 豊富なナムサダンの演目のうち、六四年に重要無形文化財第三号に指定された人形劇「朴僉知(パクチョムチ)ノリ」をはじめ綱渡り、仮面劇、地技、プンムルノリ、皿回しの六演目が紹介される。

 特に朴僉知ノリ、仮面劇は、当時の封建社会や両班(ヤンバン)制度に対する辛辣な風刺で民衆に喜ばれた。ナムサダンは、新羅時代初期から旧韓末まで続き、全国の村から村を旅しながら村の広場で歌舞を見せて民衆娯楽を提供した職業的な流浪の芸能集団。貧農出身者または孤児たちで構成されていた。社会の底辺層に生きる人々の恨みと、両班社会の不道徳性、権力に対する風刺など、民衆の側に立った歌舞を見せてきた。

 現在は保存会が構成され、後継者育成に力を入れているだけでなく国内外で公演活動を続けている。

 今回のナムサダン公演は、奈良で在日同胞や日本人に韓国舞踊を教えている舞踊とチャングの会「マンナム」(周希貞会長)が広く韓国伝統芸能を紹介したいと招請したもの。公演は二十九日午後六時開演、当日券は大人四千五百円、小中高校生二千五百円。問い合わせはマンナム、0744(28)2741へ。


<<男寺党の主な内容>>


◆朴僉知(朴爺、 パクチョムチ)

 韓国正統劇中の民族人形劇は現在、男寺党の操り人形劇だけが継承されている。「パクチョムチ」ノリとも呼ばれる。男寺党の六つの出し物の中でも、人形劇は一九六四年に重要無形文化財第三号に指定されて以来、その伝授活動も活発に行われている。


◆綱渡り

 張り巡らされた綱の下で綱祓いをあげた後、高さ三メートル、長さ九〜十メートルの綱の上で各種の技を披露する。綱渡り技能は単純な体技的な技術ではなく、才知に富んだ諧謔と音曲は江原道の五鳳山(オボサン)節で進行され、一層劇的な面を見せてくれる。


◆仮面劇

 仮面劇は四幕で構成される。男寺党の仮面劇に登場する仮面は、村夫子、老婆、へんてこな男、下人など九つがある。韓国の山台都監(サンデトガム)劇などとは違い、官庁の主催でなく完全な民衆劇。したがって台詞、音楽、踊りなどがあふれる風刺で表現される。洗練された演技と劇の展開は、外来からの侵略排斥と封建的葛藤の克服という民族的意思を表している。


◆地技

 「上手にやれば良き暮らし、下手にやれば死に処」という伝来の民族体技。たくましい体力を見下した封建倫理観に抵抗して民衆の勤労と防衛の源泉である体力を尊重した劇的性格を加味している。


◆プンムルノリ(農楽)

 「プンムル」とは今日の農楽で、伝統的な民族音楽。男寺党プンムルノリは現在残っている中でも規模と統制を備えたもの。韓国の音楽と舞踊の原初的形象を最も洗練された技巧で演じ、今日の農楽より高度な演戯性と芸術性、力強さを持つ。


◆ベナ(皿回し)

 伝統妙技の一つで、キセルの管、刀で洗面器や鉢、皿などを回す。まわし師と対話役の喜劇役「マホ氏」がやりとりしながら鉢や皿を順に回す。二人のかけあい談は、封建社会の告発であったりする。

(1999.04.21 民団新聞)



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