民団新聞 MINDAN
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IMFの中でも着実な成長

新韓銀行・李仁鎬氏に聞く



先進的なサービスで信頼される
銀行をめざしたいと語る李銀行長

 このほど、新韓銀行の銀行長に前専務の李仁鎬氏が就任した。IMF体制の中でも多様な成長を遂げ、優良銀行に指定された新韓銀行の成長の秘訣と今後の抱負を聞いた。


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在日同胞の支援が最大の原動力

「体内外的に厳しい時期に銀行長を務めることになりましたが?」

 李 在日同胞が寄せあった資金で設立した新韓銀行の銀行長という大任を受け、喜びよりも重みと責任感を感じています。新韓銀行は短い歴史にもかかわらず、輝かしい成長を遂げました。これはまさに在日同胞の支援の賜物といえるでしょう。営業の第一線で体験してきた現場の感覚と経験を生かし、二十一世紀には新韓銀行が世界の超一流銀行に育つよう最善を尽くします。


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新韓銀行のチャレンジ精神で

「昨年、韓国はIMF体制という厳しい経済状況克服のため多くの構造改革が行われました。その中でも特に銀行の構造調整が最優先されました。しかし、新韓銀行は多様な成長を遂げ優良銀行に指定されましたが?」

 李 絶え間ない愛情と関心を寄せて下さった在日同胞そのものが成長の原動力であり、力強い土台なのです。本当に感謝しています。IMF体制という昨年、新韓銀行も創立以来の厳しい一年でした。しかし、このような状況の中でも、成長の実績を生んだのは顧客を満足させ責任ある経営、そして独特の企業文化を持ったおかげだと思います。

 新韓銀行は創立以来、親切丁寧、顧客満足の教育に心血を注ぎ、システム面でも顧客中心の戦略を展開してきました。その結果、各種世論調査結果で韓国の銀行中、顧客満足度が最も高い銀行に選ばれました。

 最近では先進金融システムを活用した顧客サービスを行っています。他の銀行に先駆けて責任経営体制が築かれたのも成長した秘訣のひとつです。

 李煕健会長を中心に在日同胞のみなさんによって株主を形成し、銀行の実質的な主人公的役割を担うことで、経営に対する責任を負う雰囲気が自然に醸成されたのです。これは、銀行経営に商業性をリンクさせた結果だと言えるでしょう。また、変化を恐れぬチャレンジ精神も成長の秘訣だったと思います。


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海外銀行との競争にも負けない

「海外の金融機関が韓国内の銀行を買収するなど、韓国の金融市場は競争時代が到来したと言えますが?」

 李 韓国への進出が決まっている「HSBC」など海外金融機関がシステムやノウハウの面で優れていることは確かです。しかし、韓国の金融土壌に見合ったシステムを築くには相当な時間が必要です。

 これに対し、新韓銀行はすでに四年前からボストン・コンサルティング・グループの諮問によって改革を推進してきており、システム面でもひけをとらないと自負しています。

 今年から、店舗を個人顧客店舗、中小企業店舗、大企業店舗と三つに細分化し、顧客のニーズに応えたサービスを提供しています。また、貸付では先進国の大手銀行が行っている個人貸付の信用評価システムと企業貸付の企業信用リスク管理システムを導入しています。

 このような努力が実を結び、今年の第1四半期の営業利益が約二千億ウオンに達しました。新韓銀行は決して外資系との競争に後れをとることはないでしょう。


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先進金融システムで超一流銀行めざす

「今後最も重点をおいている経営戦略は?」

 李 グローバル・スタンダードといわれる時代は、株主と顧客を満足させられる銀行だけが生き残れるでしょう。多様で新しいチャンネルを通じ顧客のニーズに応えたサービスを提供し、収益を拡大化できる経営を展開することがポイントです。すべての営業を利潤創出の根拠に展開し、投資家に最高の収益を与えられる投資価値の高い銀行、つまり株主価値拡大化を第一の目標とします。

 このため、昨年から導入した先進金融システム(CSS、CRM)と市場別事業本部制及び、顧客別営業店舗体制をいち早く定着させたいと思います。

 長期的には二〇〇二年までに資産六十六兆ウオン、自己資本利益率一八・四%を達成できる国内最高の優良銀行をめざしています。そして在日同胞の支援に報いるためにも必ずや世界の超一流銀行に成長させます。


<<プロフィル>>

 李仁鎬氏 一九四三年生まれで、本籍は大田広域市。大田高校、延世大経済学科を経て、韓国商業銀行に入行。以降、大邱銀行に勤務した後、八二年に新韓銀行の開設準備委員として活躍。同行ソウル市内の支店長や融資部長、営業部長、理事を経て九三年に常務、九七年に専務を歴任。今年二月に銀行長に就任した。

(1999.04.28 民団新聞)



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