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民族学級向け教材完成

大阪市教育委員会、民団の要請で



■全国初、民団大阪が働きかけ

 【大阪】民族学級や民族クラブで学ぶ在日同胞児童のために、大阪市教育委員会が統一教材を作成した。自治体が民族学級向けに系統的に編集した"教科書"を発行するのはこれが初めて。民団大阪府本部の長年の働きかけが実った。


■ウリマル、歴史など

 テキストはA4判、二十九ページ。小学校低学年用にカラー写真やイラストをふんだんに使った構成。タイトルの『チュモニ』は袋の意味で、母国の歴史や文化、言語がたっぷり詰め込まれている。

 全体は「ウリマル」「ウリナラのようす」「ウリナラのくらし」の三章立て。「ウリマル」ではハングルの読み書きから簡単なあいさつまで遊びながら学ぶ。「ウリナラのようす」には韓半島の特製地図がカラー刷りで折り込んであり、三世、四世に「ハルモニ、ハラボジはどこで生まれたのかな…」と問いかけている。「ウリナラのくらし」では食文化、生活習慣を紹介している。

 教材作成に当たっては、学校現場で日々実践している日本人教員や民族講師が九七年度から十数回の編集委員会を積み重ねてきた。また、民団大阪府本部でも内容面でアドバイスするなど間接的に編集参加した。大阪市側ではこれら様々な意見を集約するのに苦労したと打ち明けている。


■課外授業として70年代から

 民族学級や民族クラブは「子どもたちに祖国の言語や文化を学べる機会を」との同胞父母の声を受け、一九七〇年代前半から課外授業として始まった。現在、大阪市には府費の民族学級が七校、このほかに民族クラブが七十三校(小・三十八、中三十五校)ある。

 しかし、統一的な教材があるわけでもなく、現場で指導に当たる民族講師がそれぞれ手製のペーパーを工夫して使っているのが現状。内容にもバラツキがある。このため、九五年度から民団大阪府本部では市に「民族学級向けの統一的な教材」を作成するよう繰り返し要望してきた。


■5月末には高学年用も完成

 大阪市教委では予算措置ができた昨年度から作成に着手していた。完成したテキストは千三百五十部。二十一日、この一部が民団大阪府本部に届けられた。同本部では洪性仁団長らが大阪市教委の渡辺一郎教育次長ら三人の関係者を出え、労をねぎらった。

 大阪市教委では大阪市立の小学校で民族学級・民族クラブ四十五校に参加している一、二、三学年児童と指導者分合わせて千七十六部の発送を二十一日までに終えた。なお、五月末には小学校高学年用の共通教材『ムジゲ』千六百部が完成の予定。

(1999.04.28 民団新聞)



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