民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー

教室から「共生を」



 新年度から全国の公立中学校に「民団新聞」を無料贈呈している。中には「必要ない」と送り返されるケースもあるが、北海道・苫小牧の教頭先生は「日韓の新しい友好関係を考える時に、この新聞の果たす役割は非常に大きい」、兵庫・芦屋の校長先生は「多くの知識を得ることができて楽しい」とわざわざハガキを送って下さった。

 目の前がパッと明るくなったのは言うまでもない。こういう学校には、陰湿なイジメや学級崩壊などの退行現象などないだろうなと勝手に想像した。

 在日同胞の子どもたちの多くは、日本の学校に通っている。本名であれ、日本名であれ、子どもたちの毎日は学校を中心にまわっている。成長につれて親よりも友達や先生の方が影響力をもつことを考えれば、学校の存在感、その大きさは計り知れない。

 先生が「在日」の問題に関心を寄せ、理解をしようと歩み寄ってくれば、「在日」ゆえに一人孤立感を味わったり、必要以上に肩に力が入っている在日の子どもにも勇気がわいてくることだろう。

 「在日」としてこの国に生まれてきた子どもたち。男か女か、障害を背負っているか、いないか。子どもたちには選択することができない。自分の出自が不当に扱われていることを知った過去のある日、目からは輝きが失せ、日常の風景までが色あせて見えてきた。そういう経験はあなたにはないだろうか。

 「共生」は口で言うほどたやすくはないし、共に生きるというメッセージは、「在日」の片思いにすぎないのかもしれない。けれど、多くの人の努力で時代や環境が変わって来たのも事実だ。あるがままの「在日」が、一つの大切な個性として認められる日が必ず来ると信じている。(C)

(1999.06.16 民団新聞)



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