魅力ある組織目指そう
ある支部では「若手がいない」と嘆く。若手と言われる多くの30代、40代の同胞層は、自らの経済基盤を作らなければならない時期だ。人生で最も大切な10年とも言える。その貴重な時間を割いて、民団に出てきてもらおうとするならば、それに見合った魅力ある組織であることが求められるのは言うまでもない。
支部や本部、民団にかかわる広範な人材に対して「民団とは」を学んでもらう中央組織学院は77年10月に開院し、22年の歴史を持つ。すでに168期を終え、4700人以上が修了した。組織要員の実務能力向上、全国組織の行動統一などを目指して実務的な講義とともに、学院の目玉として、これからの民団を支える上で何が必要かを考える「分任討議」がある。財政問題、世代交代、民族教育など民団や同胞社会が抱える様々な問題について討論し、問題の解決を探る。
第一期からの分任討議の結果をまとめた報告書には「2・3世に対して魅力ある参加の場を作ろう」「戸別訪問を通じて団員の理解を得ながら自発的に団費を出してもらおう」など問題を解決するための具体策が列記されている。しごく当然の提言だ。
民団の問題点として必ずと言っていいほど出されるのが後継者と財政の問題だ。多くの支部、本部が同様の問題を抱えている。特に過疎地域においてはより顕著になる。
■大きな役割果たしてきた民団
もう一つ、分任討議の中で出されるのは「これまで民団が成し遂げてきた多くの成果を団員が知らない。知れば絶対に協力してくれる」というものだ。
創立以来民団は、団員の利益を第一に考えながら活動してきた。今では考えもよらないことだが、公営住宅に入居できず国民健康保険すら利用できなかった時代があった。団員の権益擁護、民生安定を掲げて民団が活動してこなければ、多くの制度的差別が無くなった現在はあっただろうか。180人におよぶ指紋押捺制度の撤廃署名がなければ制度の改正は果たして行われただろうか。
民団は在日同胞に関わる日本の制度改正に何らかの関わりを持ち、活動を続けてきたと言っても過言ではない。挙団的に運動を進めてきた地方参政権の付与も間近に迫りつつある。もちろん、良心的な民団外の様々な活動も影響をもたらした。しかし50人の団員を擁する民団の活動があったからこそ現在に至ったのではないか、と自負する。
民団は役員や幹部だけの組織ではない。大衆組織だ。団員と組織担当者が両輪のごとく回ってこそ発展がある。そのために組織を担当する者が果たさなければならない役割がある。広範な団員の要望に応えることである。そのためには、まず戸別訪問ありきである。一軒一軒、顔を見せながら訪問し、意見を聞くと同時に先に挙げた民団の活動を知ってもらえば必ずや理解を得られると信じる。団員の協力が得られてこそ人材も財政も集まってくる。
■戸別訪問で団員の理解得よう
民団の活動は見えにくいかも知れないが、どうすれば同胞社会がよくなるかを考えながら地道に活動を展開していることを理解して欲しい。同時に子弟の教育や自らの生き方に悩む同胞には、民団に出て一緒に考えていこうと呼びかけたい。
「同胞社会のために」という創団精神を思い起こしながら、多くの同胞が集い、意見を出し合い、自らの将来を考えることができる場にしようではないか。
(1999.06.16 民団新聞)
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