民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
舞踊、プンムル、伝統楽器、パンソリ

観光客の人気呼ぶソウルの「貞洞劇場」



伝統リズムを打ちならす貞洞劇場のプンムル公演

■伝統芸術が一堂に

 韓国の魅力の一つに伝統芸術がある。日本でも韓国の伝統舞踊や近年有名なサムルノリが人気を呼んでいる。ソウルでも伝統芸能を上演する劇場はあるが、97年2月に開設された貞洞劇場は電光掲示板で演目ごとに韓・日・英語で解説が流されるなど、外国人観光客に人気が高い。ウリマルを解しない在日同胞の若い世代も伝統芸能が楽しめると近年在日同胞も多く鑑賞に訪れるなどソウルの人気スポットとしてクローズアップされている。

 貞洞劇場は徳寿宮の裏手の貞洞教会正面に位置するため、ソウルを拠点に韓国を観光する人にとって便利な場所にある。

 同劇場は文化観光部の傘下団体の一つとして、韓国初の新劇専用劇場「圓覚社」を復元しようとの趣旨で国立中央劇場の分館として95年に設立された。97年に財団法人貞洞劇場として民間依託され、韓国伝統芸術を一般に広めるために「伝統芸術常設舞台」を設けた。今では国内優秀文化機関の発展基本モデルとしての地位を確立し、高い評価を受けている。


■観客と一体の舞台演出

 劇場には各芸能ごとの専属芸術団が置かれ、プンムル団は86年ソウル、90年北京のアジア大会開・閉幕式、88オリンピックの文化祭典、フランス革命百周年世界打楽器フェスティバルなどに参加、500回の海外公演をこなしてきた実力派。国楽演奏団もバルセロナ五輪文化使節団などを務め、舞踊団もフランス招請公演やヨーロッパ巡回公演を実施してきた。

 劇場の総合的な演出を手がけるのが芸術総監督の方承煥・伝統打楽器研究所所長。民俗村農楽団を皮切りに国立国楽院演奏団、ソウル市立舞踊団などでの活動経歴を持つ。83、84年には全州大私習ノリ農楽部門で壮元(首席)、全国農楽競演大会大統領賞、ソウル国楽大競演金賞などの受賞歴を持ち、海外公演も数多い。

 貞洞劇場の公演は毎週火曜日と金曜日の午後7時半から。チャンゴ舞、パンソリ、散調合奏、三道プンムルクッ、剣舞、パンクッ、僧舞、三道ソルチャンゴ、南道民謡などが演じられる。公演自体も一つの場所で韓国伝統芸能を堪能できるように構成されている。


■日・英の電光掲示解説も

 特徴的なのは、パンソリでの客席との掛け合いや、カーテンコールの後、出演者たちが客を舞台上に誘って輪になって踊るなど韓国民衆の伝統を体感できる点だ。フィナーレは劇場の外での出演者と観客が一緒に踊る「ティップリ」。輪になって踊りながら記念撮影なども行う、いわば「無礼講」で公演を締めくくる。

 来客数も98年度は前年の200%、99年5月現在でも昨年の150%増を記録するなど人気も急上昇中だ。

 貞洞劇場が外国人観光客に人気が高いのは、パンフレットや案内もすべて日本語と英語で行われるため。ステージ右脇の電光掲示板で日本語と英語テロップで演目の紹介などが流され、初めて伝統芸能に接する外国人にも分かり易いように工夫されている。電話予約も日・英・独の3カ国語で受け付けている。

 市内の大手ホテルから劇場までの巡回シャトルバスもあり、手軽に見に行ける。料金は大人3万ウオン。連絡先はソウル02(773)8960。



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ