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甲子園めざす京都韓学

デビューは昨年優勝校



初戦の相手、京都成章の三富主将(左)
と握手する金存生・京都韓学主将(右)

■府大会初戦、強豪相手に闘志

 【京都】今年5月に日本高校野球連盟に加盟し、外国人学校として初めて甲子園をめざす、京都韓国学園・硬式野球部は26日に行われた府大会の組み合わせ抽選会に臨み、1回戦で昨年の優勝校で全国大会準優勝の京都成章と対戦することになった。初の公式戦でいきなり強豪相手となったが金存生主将は(16)は「どうせなら強豪の方がいい。全力でぶつかる」と闘志を燃やしていた。

 外国人学校の硬式野球部としては全国で初めて日本高校野球連盟(高野連)への加盟が認められた京都韓国学園=東山区、王清一理事長=が、7月の第81回全国高校野球選手権京都大会で初陣を飾る。対戦相手は26日の組み合わせ抽選の結果、昨年の全国選手権準優勝校、京都成章高校に決まった。甲子園へのはるかな道に向かっていま第一歩を踏み出す。

 京都大会には京都韓学をはじめとして74校が参加する。参加校は8ブロックに分かれ、7月29日の決勝戦を目指してトーナメント方式で争う。

 組み合わせ抽選会は26日、京都市右京区の京都外大森田記念講堂で行われた。まず、春季府大会優勝の須知校など8強がシード校として分散、続いて本抽選に入った。

 京都韓学からは在日三世の金存生主将(1年)が出席、54の番号札を引いた。金主将は対戦相手が京都成章校と決まったその瞬間、「あっ」と心の中で叫んだ。京都成章には昨夏に準優勝したときのレギュラー2人がそのまま残っている。しかし、「やるしかない。強豪チームなら相手の技術を学ぶいい機会」とすぐに気持ちの切り替えを図っていた。

 「大変なことになった」との思いは会場で抽選の成り行きを見守っていた李相創教頭も同じだった。しかし、すぐに平静な表情を取り戻した。「いまからがスタート。第一歩です」と数年後を視野に入れて戦っていくことを示唆した。

 一方、京都成章の三富主将は「相手がどこの学校であっても一戦一戦、大切にして最後まで頑張ります」と述べた。

 京都韓学で抽選結果を知らされた李虎雄校長は「昨年の全国大会準優勝校との対戦だが、引き下がるわけにはいかない。高校生らしいきちっとしたプレーをしていただきたい。本名のボードが並びます。画期的な出来事になるでしょう」と語った。

 京都韓学の初出場に対しては、大会関係者の期待も大きなものがあるようだ。京都府高等学校野球連盟の山本勝会長は抽選会席上、あいさつのなかで京都韓学に言及、「これからいくつものハードルがありますが、これを越えて新風を吹き込んでください」と激励した。

 開会式は7月15日、京都市の西京極総合運動公園野球場で午前11時から開かれる。京都韓学と京都成章の対戦は翌16日の午後2時半から舞鶴の球場で。


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□■地元同胞の期待の声■□

◆明るい夢のようだ

(李愚京民団京都府本部団長)

 京都韓国学園の出場は私たちにとって久しぶりに明るい夢のような喜ばしい出来事だ。創立以来半世紀、韓国学園は今新たな歴史的な第一歩を踏み出すことになったとの感を強くしている。


◆君たちの前に道は開かれた

(全斗鳳京都韓商会長)

 君たちの前に道は開かれた。深紅の優勝旗目指して、金存生主将を先頭に力を合わせ、日ごろの練習の成果を出し切られることを。輝かしい歴史の第一歩に祝福あれ。


◆まず1勝をめざして

(李愛子婦人会京都本部会長)

 部員が絶対的に少ないなか、チームワークでいつか一勝をあげることを祈念しています。甲子園に出場することも願いですが、まずは地区大会での1勝が念願です。


◆側面から支援していきたい

(李武京都韓学同窓会会長)

いますぐ結果を出そうとは思わないでいい。これからしっかりと前を見て頑張っていってほしい。同窓会としても、野球部のために側面から応援していきたい。


◆球児の仲間入り、感慨しみじみ

(宋基泰在日体育会副会長、民団京都民族教育委員)

 外国籍の学生に門戸が開かれたのは1981年の琵琶湖国体から。この年には、京都商業と報徳高校が夏の甲子園決勝戦で対戦した。京都商業から出場した選手のうち7人は在日同胞だった。そしていま、在日同胞が堂々と本名で、甲子園を目指して地方大会にも出られるとは…。感慨深いものがある。

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□■強いチーム作りめざし、後援会発足へ■□

会員を幅広く募集

 「京都韓国学園硬式野球部後援会」が7月に正式発足する。同設立準備会(代表、金安一京都韓学副理事長)では、将来の甲子園出場を視野に「強いチーム」づくりへ物心両面からの支援を呼び掛けている。

 発足間もない同校野球部が甲子園を目指すには、戦力強化と施設整備が欠かせない。後援会では全国から野球の好きな生徒の入学を呼び掛け、施設整備の面でも財政的な後ろ盾になっていく。設立呼び掛け人には、李愚京民団京都府本部団長など地域同胞社会を代表する各界各層から有志が名前を連ねている。設立総会は10日午後4時から同校一階小ホールで。

 後援会費は一口、年間1万円(何口でも可能)。会員には年2回程度の野球部活動近況報告と激励会を予定している。

 振込先は京都商銀本店普通口座338265、または住友銀行4条支店普通口座1538044の「京都韓国学園野球部後援会」。問い合わせは075(525)3535。

(1999.06.30 民団新聞)



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