民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
韓民族として生きるために



 梅雨明けと共に、世代を超えて民族的共感を共にする企画が、全国組織で積極的に推進されている。オリニのための臨海・林間学校や土曜学校の夏季特別講座、中・高校生を対象にした母国夏季学校、また青年会、学生会による夏季連帯事業など、それぞれの世代に対応し準備され、開催を待つだけとなっている。

 さらに、本団が21世紀を展望し、日本社会で韓民族の一員として生きていく意志とそれを支える自己確立の契機とする「学びのマダン、講座制民族大学」が全国に先駆けて、長野と広島で開講した。在日同胞社会の明日を見つめる民族大学は、既に同胞社会の責任世代となっている二・三世のニーズに応え、民族社会教育の柱として定着してきた。

 今年度は、前述の2地方本部の他に五地方本部で9月からの開催が決定している。さらに他の地方本部においても準備にとりかかっており、広い関心を集めている。


■内なる民族的魅力を

 在日同胞社会の世代交代は、一世から二・三世へと実質的には済んでいる。責任世代となった二・三世世代は、一世に比べて母国との相対化や民族的求心力の低下が指摘されて久しい。しかし、彼ら(彼女ら)は日本社会の差別環境の中にあって、民族的感性を育む基礎である家庭教育は勿論、体系的な民族教育を受ける機会も限られ、日本の視点に立った教育を受けたことからもっとも悩んだ世代でもある。受講生の年代別結果から、その世代の参加者が最も多く、子どもに正しい民族的素養を伝えたいという親の思いを伺い知ることができる。

 解放から半世紀、韓日の学者らの研究によって、政治、経済、社会、文化などあらゆる分野で誤った記述が次々と明らかになり、修正されている。私達は、次代を受け継ぐ子どもらに民族的エゴイズムに毒された民族観や誤った素養を伝えたくない。講座制民族大学は、碩学の先生方によって民族の内なる魅力を伝えてくれる貴重な場である。


■国際化と情報化に対応

 国際化と情報化の波に対応する民族大学は、1993年の「大阪教室」から始まり、現在まで、十九都市で開設されている。受講生は4000人に達しようとしている。昨年からは、受講生の多様なニーズに応え、各界各層で活躍されて居られる講師陣の協力を得て東京で常設化への試みを始めた。名称も「コリアン・アカデミー」と刷新し、幅広い講座の開発も並行させ、様々な試みを実践した。

 今年度はその講座の充実を図る一方、大阪教室の常設化をはじめ二期目の開催となる広島、神奈川、愛知、兵庫の各教室もコリアン・アカデミーという名称を積極的に使用し、多様な講座を設置している。実施形態もゆとりを持てる隔週開催などの採用によって、受講生は勿論、同胞過疎地方であっても比較的に開設が可能となった。

 過疎地方として、宮城県本部に続いて、二番目の開催地となった長野県本部では「世代を越え、机を並べ、学びあう場であるだけでなく、国境を超えたボーダーレス時代にふさわしい場としたい。幹部と団員が共に集い、語り合う契機となれば」と開催の意義を強調した。地域同胞社会の活性化に向けた姿勢を高く評価したい。

 各地方教室において、各級組織幹部が率先受講され、民族に対する正しい理解と韓日間の最新情報、そして在日同胞社会に対する共通認識をともにする機会として活用されることが望ましい。

(1999.07.28 民団新聞)



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