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民族教育の位置づけめぐり関心高まる

民族学級講師らが研修会で討論



「総合的な学習」について討論する
民族講師らの分科会

■文部省新設「総合的な学習の時間」

 【大阪】日本文部省は、2002年度から日本の公立小・中学校に「総合的な学習」を導入する。例えば「国際理解」、「情報」、「環境」、「福祉・健康」などの課題について年間100時間程度、各学校が独自の工夫で横断的・総合的な学習活動ができるというもの。この「総合的な学習」に民族教育をどう位置づけていくかが在日同胞教育関係者の間で大きな関心事になっている。

 「総合的な学習の時間」は、「子どもたちの『生きる力』を育むためには子どもたち自ら学び、考える教育への転換が必要」との96年の中央教育審議会の答申に基づいて提起された。

 これを受けての98年7月の教育課程審議会答申では、内容について「国際理解、情報、環境、福祉・健康などの横断的・総合的な課題」を例示した。どの課題を選ぶかは、各学校の地域性や特色及び児童・生徒の興味と関心に従い自由に選択が可能だ。学習時間は年間100時間程度とされている。


■「国際理解」に着眼

 在日同胞の教育関係者はこの「国際理解」に着眼、ここに民族教育を位置づけられないかと模索中だ。21日から23日の3日間、関西韓国文化院(李明燮院長)主催のもと高松市屋島で開かれた「民族学級講師研修会」でも中心的なテーマとなった。

 「民族学校における同胞社会の今日と未来」と題して講演した金剛学園の李大燦校長は、「在日同胞の民族学級講師は生野、東大阪などで民族講師協議会を組織して、日本の教育委員会と話し合っていかなければなりません。民団としても協力してほしい。とにかく急がなければなりません」と強調した。


■教育委員会との交渉急ぐ

 「国際理解」をテーマとする総合学習の時間で民族的な素養をテーマとするカリキュラムが取り上げられ民族学級講師が教壇に立つようになると、民族教育の制度保障にもつなげることができるとみられている。 しかし、「国際理解」といえば、ともすると欧米に目が向きがち。東成区のある公立小学校でも、英語をカリキュラムにとの声が上がったという。これに対して、教頭が「それはおかしい。この地域はハングルや」と反対したという。いずれにしても、2002年に向けて各学校の取り組みはすでに始まっているのは確かなようだ。

 研修会席上、駐大阪韓国総領事館の安光浩領事は「今後、民族教育促進協議会・民族講師会とさらに連携し、府・市の教育委員会の教育担当者と年3回の会合を持ち、韓国教育部にその内容を報告して日本文部省に要求していく形にしたい」と述べた。

 「総合的な学習の時間」は来春から一部の学校で登場することになっている。すでに教員向け研修講座も相次ぎ開かれている。

(1999.07.28 民団新聞)



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