民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
静岡大学教育学部付属・浜松中学校の
訪韓修学旅行記録から

五官に響いた韓国、暗い対韓イメージ払拭



修学旅行研修録の1ページ

 近年、日本に一番近く、長い交流の歴史を持つ国として韓国を修学旅行先として選ぶ学校が増える中、静岡大学教育学部付属浜松中学が三度目の訪韓修学旅行を実施した。訪韓修学旅行後に出された研修録から、今後の韓日交流がどうあるべきかなど率直な生徒の意見も出されるなど、高い教育効果を生んだようだ。

 同校では、修学旅行前の事前教育として在日同胞から韓国の歴史や食文化などの知識を得た上で、各自がテーマを持って韓国について調査した後、実際に訪韓するという教育実践を行ってきた。この三年間、同校から依頼を受けて事前教育の教壇に立ったのは浜松市内に住む金守一さん(58)。市内で焼肉店を営むかたわら民団浜松支部の副議長でもある。

 金さんは職業柄、韓国の食文化に造詣が深いため、日本の中学生にとって「食べ物」という最も身近なテーマである食文化をはじめ文化面の講義を続けてきた。また留学生によるハングルの事前教育も行われてきた。

 事前教育とこれまでの学校教育、生徒たち自身の知識を動員しながら、訪韓する前に個々人がテーマを決めて学習し、修学旅行に望んだ。生徒が選んだテーマは環境問題、兵役、韓服、音楽など多岐にわたり、韓国に対する生徒たちの関心の高さがうかがわれた。中でも日韓の交流史や歴史認識の違い、反日感情の起こりなど植民地支配にまで踏み込んだ韓日の歴史をテーマにあげた生徒も少なくなかった。

 アプローチの仕方は様々だが、ほとんどの生徒が歴史や文化、韓国人の意識・感情を知り、そこから将来のよりよい韓日関係を導き出そうという試みが見られた。

 また韓国の新東中学生徒との交流も、同世代の交流に一役買ったようだ。

 訪韓を終えた生徒の記録には「反日感情があって怖いと聞いていたが、とても親切で驚いた」をはじめ「友好的」「明るく接してくれた」などと書かれるなど、韓国を体験することによって生徒たちが持っていた「怖い」「暗い」というイメージを払拭させたことがうかがえる。

 また韓国の優れた面ばかりでなく、マナーなど日本よりも充分でない点などにも素直な感情から書き綴っている。

 生徒たちにとっては、日本の教科書に載らない韓国の本当の姿に接することによって、「今後隣の国として韓日がよきパートナーとして世界をリードしてほしいと思う」と強く隣国・韓国を認識したようだ。


■生徒たちの感想から■

◆日本にとって韓国はとても力強い国になるだろうと思う。なぜなら一番近い国なのだ。修学旅行では韓国という国を仲間という目で見ていこうと思う。

◆キムチとピビンバは最高だった。韓国の顔だけあるなと思った。

◆「韓国の中の日本」より「日本の中の韓国」の方が少なかったと思う。

◆歴史を重く受け止めている。歴史を考えてもらうための施設がたくさんある。

◆反日感情を持っていて、とてもこわいと聞いたが、行ってみて、とても日本人に親切なので驚きました。とてもいい国でまた行きたいと思いました。

◆過去、日本は朝鮮に対して謝りきれないことをしてしまった。しかし、向こうの人たちはとても前向きに考えている。しかし日本人は過去にあったことを知らない人がいる。過去にあったことをもっと認識し、よりよい両国関係ができるととてもいい。

◆生の韓国人と触れあうことで、本やテレビにはない本当の韓国人を心に焼き付けることができた。

◆一人の日本人として日韓が歩んできた歴史を見つめる必要があると思う。そうすることで「近くて遠い国」から「近くて近い国」に変えることにつながる。

(1999.8.4 民団新聞)



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