身障1級のハンディ乗り越え
【大阪】白頭学院・建国幼小中高等学校PTA連合会の99年度会長にこのほど、在日二世の金洪仙さん(48)=写真=が就任した。韓国系民族学校で女性のPTA会長が誕生したのは建国が初めてのケース。
PTA会長は男性、女性は副会長として補佐するーというのが一般的な通念。「引き受けるのはある種の冒険だった」(金さん)。
それでも恐れず引き受けたのは、「誰かがドンキホーテにならなければ。理想に向かってひたすら歩み続けるドンキホーテのような口火を切ってみよう」とのポジティブな気持ちからだったという。
金さんは身体障害者一級の身。家業の手伝いでプレス機械を操作していた際、誤って両手首を切断してしまった。当時、まだ建国中学校1年生。就学免除(猶予)の適用を受け、学校を中退した。そのまましばらく、在宅障害者として家に閉じこもる日々が続いた。
十九歳の時、思い切って気持ちを切り替えてみた。「閉じこもっていてはいけない。生きたい。生きるには意味のある生き方をしよう」。自ら電車に乗り、市内の大阪文学学校に通い始める。学校生活の2年間、様々な人生の出会いがあり金さんは、「在日」「障害者」「学歴がない」といったハンデイに打ち勝つたくましさを身につけた。
金さんをPTA会長に押した直前会長の金光男さん(48)=松原市在住=は「周りの人も金洪仙さんならやれると賛成した。保護者と学校側の関係をスムーズににしてくれる人」と太鼓判。金さんの人柄をよく知る立場の皇甫佳英さん(47)=平野区=も、金会長の企画力や発想の豊かさを高く買っている。
(1999.08.25 民団新聞)
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