民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
民族学級開設決めたが

講師のなり手がいない



大阪市内の4校
報酬の低さが足かせに
急がれる制度保障

 【大阪】日本の公立小・中学校に通う在日同胞子弟に民族との出会いの場を保証する民族学級が今秋、新たに大阪市内の四校で新設される。しかし、いざ開設は決まったものの、あまりの報酬の低さに講師のほうが二の足を踏み、周囲をハラハラさせた。いまは何とか4人の講師を確保するメドはついたが、これで1件落着とはいかないようだ。

 民族学級(民族クラブ)が設置されているのは、大阪市内で81学級、東大阪市内の23学級など148学級を数える。現在約3000人が学ぶ。

 講師は計70人。このうち何とか生活を保障されているのは、大阪府が措置した民族学級講師11人にしか過ぎない。年収は約450万円と、日本人の常勤講師と同等の待遇だ。

 このほかの講師の多くは嘱託職員の扱いに甘んじている。大阪市は「民族クラブ技術指導者招へい事業」指導員として予算化。報酬は小学校で1回授業して3830円、中学でも6330円程度。

 非常勤講師並みだが、授業数が一週間に1回と少ないので実入りは多くない。複数の学校を掛け持ちしようにも週4日間が限度だという。

 いずれにしても月収は10万円に満たない。しかも交通費は自前。ただし、同「総括技術指導者」として週5日勤務になれば報酬は多少アップするが、毎月の社会保険料を控除した月収は約11万円ほど。不足分は、民族講師会自ら教職員組合や教育委員会に出向きキムチ、韓国グッズなどを販売、さらに講演活動などで補ってきた。

 民族講師の身分保障については、「在日同胞保護者の声で設置されるのだから、保護者が支援金を出し合って生活を支えたらいい」との声も聞こえてきた。

 こうした周囲の声に民族教育の制度保障を求めている民族教育促進協議会の金光敏事務局長は、「民族教育は義務教育の一環であり、行政が負担すべきもの。制度保障体制を確固としたものにしていかなければならない」と反論。解決策として民族学級講師の受け持つ授業数の拡大と充実化を挙げ、「民団が中心となって運動していかなければ府、市の行政は動かすことができない」と強調した。

 民団大阪府本部の金ヒョンス・文教部長も「文教部の活動は、長年の歴代の文教部長が継続してきたもの。民族学級の講師の諸問題についても要望活動をしてきた。子どもたちのアイデンティティを確立していくうえで、講師たちの身分を保障し、本名使用を進めていくことがこれからの重要な課題となる」と取り組みへの決意を述べた。

(1999.09.01 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ