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広がる「学びのマダン」

民族大学、新たに5カ所で



■東京では区教育委員会が後援

 在日同胞の幅広い知的欲求に応えるための講座制民族大学(主催、民団中央本部・同運営委員会)が9月以降、全国五カ所で開設される。すでにスタートしている長野、広島教室を加えれば合計で7カ所、「学びのマダン」が一気に広がることになる。常設化3期目となる東京コリアンアカデミーは地元支部主導での開講、しかも区の教育委員会が後援についた。新しい流れとして全国に波及することが期待されている。


■民団支部が主導し、「学習センター」で

 東京コリアンアカデミー第3期は、これまでの東京韓国学校にかわり、同胞集住地区の荒川区での開講となる。地元の民団荒川支部(洪元延団長)が、隣接する足立、江東など8支部に呼びかけて誘致した。支部レベルの自発的な学習意欲の盛り上がりは、民族大学のすそ野の広がりを実感させてくれるに十分だ。

 開講式はJR三河島駅にほど近い荒川区生涯学習センターを会場に10月9日午後5時から。「歴史教養講座」と併せ、「ハングル講座」も同時スタートする。後援には荒川区教育委員会がついた。民族大学が日本の施設で開催され、しかも地元自治体からの後援も取り付けたというのはかつてなかったことだ。

 民団荒川支部では民族大学の開催される土曜日に合わせてオリニのための「土曜学校」も開くため、家族そろっての学び舎となりそうだ。

 問い合わせ先は民団東京本部文教部03(3454)4711、または最寄りの支部まで。


■名古屋ではフィールドワークも

 講座内容には民族大学を主管する各地方本部の意向が反映されている。

 民族大学常設化第一期となる「大阪コリアンアカデミー」は「過去を振り返りながらも、現在、そして未来を考えるきっかけになれば」(鄭炳采文教副部長)と八講座を組んだ。特に朴一大阪市立大学助教授による「『在日』論争の成果と課題―在日韓国人二・三世の生き方をめぐって」(10月16日)と、若一光司さんの「誰もが本名で暮らせる社会を」(11月27日)は今後の生き方を探るうえで示唆的といえよう。

 いち早く4日から開講する「名古屋コリアン・アカデミー」は、受講生を80人に限定した。これは6回目に「日本の中の渡来文化を考える」(鄭早苗講師)と題した全国初のフィールドワークを予定しているためだ。

 民団愛知県本部が「目玉」と胸を張るだけあって人気も上々。すでに定員枠は「ほぼ埋まった」。

 「神奈川インターナショナル・アカデミー」では神奈川県県民部国際課から講師を呼ぶ。自治体からの講師招請もこれまでの民族大学ではなかったこと。もう一つ、映画監督の崔洋一監督が民族大学に初登場する(11月13日)ことも話題の一つ。

 崔監督は「まず、これまでに日本の映画の中で描かれてきた『在日像』を検証する。さらに、ボーダレスになってくるアジア映画、アジアの中でクロスしてくるアジアのハイブリッドを共に皆さんと考えたい」と張り切っている。


■講座制「民族大学」各地区の日程

□■名古屋教室□■

▼「在日にとっての母国の歴史」(9月4日)

▼「『任那日本府』とは」(9月18日)

▼「豊臣秀吉の朝鮮侵略を語る」(10月2日)

▼「江華島条約と韓国併合を考える」(10月16日)

▼「解放前に描かれた韓国・朝鮮人像について」(11月6日)

▼「日本の中の渡来文化を考える…フィールドワーク」(11月27日)

▼「日本の中の外国人」(12月4日)

▼「在日同胞社会の分断史と今後」(2000年1月22日)

▼「本国政府の在日同胞政策」(2月5日)

▼「在日にとって韓国国籍を持つ意味」(2月19日)


□■神奈川教室■□

▼「神奈川に見られる大陸との交流史」(9月11日)

▼「韓国(東アジア)と日本の近代史」(9月25日)

▼「在日外国人の人権」(10月9日)

▼「体験を通して考える本名問題」(10月23日)

▼「在日韓国人と映画」(11月13日)

▼「在日韓国人文学」(11月27日)

▼「公教育における民族教育の実践状況」(12月11日)

▼「在日商工人の現状と未来」(2000年1月22日)

▼「神奈川県の国際化に向けた取組現況と課題」(2月12日)

▼「在日韓国人社会の歩み」(2月26日)


□■大阪教室■□

▼「韓国と日本その関係史」(9月25日)

▼「地方自治と外国籍」(10月2日)

▼「『在日』論争の成果と課題…在日二・三世の生き方をめぐって」(10月16日)

▼「大阪と朝鮮通信使の交流」(10月23日)

▼「在日韓国人の生活と法律」(11月6日)

▼「なぜ、いま民族教育なのか」(11月13日)

▼「誰もが本名で暮らせる社会を」(11月27日)

▼「在日にとって韓国国籍を持つ意味」(12月4日)


□■兵庫教室■□

▼「江華島条約と韓国併合を考える」(10月2日)

▼「『任那日本府』説とは」(10月16日)

▼「江戸時代の朝・日関係」(11月6日)

▼「解放前後に描かれた韓国・朝鮮人像」(11月20日)

▼「韓国の経済発展と在日同胞の役割」(12月4日)

▼「近代韓国の女性像」(2000年1月22日)

▼「祖国統一と民族教育の課題」(2月5日)

▼本国政府の在日同胞政策」(2月19日)

▼「在日にとっての韓国国籍とは」(3月4日)

▼「在日にとっての母国の歴史」(3月18日)

(1999.09.01 民団新聞)



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