民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
金鍾泌首相訪日の成果



 金鍾泌国務総理が5日午後、日本国公式訪問の全日程を終え帰国しました。韓国の国務総理が公賓として日本を訪問したのは初めてで、両国総理は2002年ワールドカップ(W杯)や対北韓政策、在日同胞の処遇など、21世紀を志向した韓日パートナーシップの確立へ、両国が運命共同体であることの認識を新たにしました。


■地方参政権は重要な問題

 また、金総理は民団が全組織を挙げて運動を展開している永住韓国人の地方参政権付与問題を小渕総理や政界などとの会談や懇談会の席で再三にわたって要請したことは、日本政府にとっても「重要な問題」として受けとめるものとなり、同運動の発展へ大きな力となりました。

 昨年秋、金大中大統領の日本公式訪問で新たな局面を迎えた「地方参政権問題」は、金総理が会談の席で、韓国側が在韓定住外国人に対し、地方自治体の選挙権を付与する作業を進めていることを説明し、一部の慎重論や「相互主義論」に韓国側が積極的に対応したことを示すものです。

 小渕総理はこれに対し、「在日韓国人の地方参政権に対する関心の大きさをよく理解している」と表明しながら、「各党各会派で議論しており、自民党も選挙制度調査会で行っている。さらに真剣に検討する」と述べ、今後、両国の関係を広げていく中で大きな懸案事項であると示しました。


■歴史上、最も良好な時期

 両首相会談ではまた、@10月23、24両日に韓国・済州島で開く韓日閣僚懇談会に小渕首相が出席AW杯を共催する2002年を「韓日国民交流の年」として交流事業を推進するBW杯開催中の航空輸送体制の強化を検討C北韓に対する韓国の「包容(太陽)政策」への小渕首相の支持を再確認D北韓のミサイル再発射問題では韓日米が引き続き緊密に連携し、北韓の前向きの対応が得られるよう最大限に努力するなどで意見が一致しました。

 金総理は今回の訪日で、「現在の韓日関係は過去の歴史上、最も良好な状態である」ことを強調し、「天皇訪韓がW杯以前に実現すれば、真の友好協力増進のよい機会となる。両国で陛下が気楽に訪問できる環境づくりに努力しなければならない」と要請しました。小渕総理も実現に向けて環境整備に努力すると応じました。

 このように韓日両国は未来志向の関係作りをめざし、昨年秋、金大中大統領公式訪問の際に調印した、「韓日共同宣言21世紀に向けた新たな韓日パートナーシップ」の実践に向け、一歩一歩前進を見せているのです。


■韓日の架け橋的役割果たそう

 韓日両国の歴史の中で生きてきた在日同胞は、つねに祖国を愛しつづけ、また、生活の地である日本の発展に絶えまない努力を続けてきました。

 金大中大統領に続き、金鍾泌国務総理も再三要請した、永住韓国人の地域住民としての権利である「地方参政権」獲得を1日も早く実現し、共生・共栄社会の一員として迎え入れることを日本政府にあらためて求めるものです。

 在日韓国人は韓日両国にまたがる、あらゆる分野での知識を備えており、「韓日の架け橋的存在」であるからです。

 私たちは、このことを再認識し、2002年W杯に向けた韓日共同作業の中で、そして、21世紀を見つめた韓日パートナーシップの実現に向け、韓日両国の「架け橋的役割」を果たしていきましょう。

(1999.09.08 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ