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金鍾泌首相訪日特集<2>

地方参政権早期実現へ最大支援
金鍾泌首相が同胞と懇談会で約束



民団中央会館で行われた
東日本地区同胞との懇談会で
激励のあいさつを述べる金鍾泌首相

 1日午前に政府専用機で羽田空港に到着した金首相は同日、都内のホテルで在日同胞代表と午餐会を持ったほか、同日夕、民団中央本部で行われた在日同胞との懇談会、4日に大阪で行われた西日本地区同胞との懇談会に参席し、在日同胞の地方参政権実現などへ政府として最大の支援をしていくことを約束した。

 金首相は在日韓国人に対する地方参政権問題について、「付与は在日同胞が日本地域の一員としてより地域に大きく寄与でき、韓日友好増進にも大きな転機になる」とし、「韓国政府は多方面で日本側に積極的に解決案を要請していく」と韓国政府が最大の支援をしていくことを示した。

 また、金首相は1946年の創団以来、民団が在日韓国人社会の求心体として様々な難局を乗り越え今日を築いてきたことを強調。とくに、IMF体制で外貨危機に陥った際、在日同胞がいち早く対応し、自主的な愛国心のもと展開した、「外貨預金・送金運動」を高く評価した。

 金首相はさらに、「世界でもっとも大きな潜在力を持つユダヤ人の力は国土や人口ではなく彼らの団結力と祖国愛から生まれる」とし、「私は今、世界の各地に進出している在外同胞社会こそ世界へ羽ばたく大韓民国の大きな力と底力であると信じる」と強調した。

 また、金総理は近年の韓日関係について「現在がどの過去より最も友好的な韓日関係になったのは在日同胞が韓日交流の『架け橋』として果たした役割が大きかった」とし、「日本社会の健全な一員として共存・共栄する姿は、まさに韓日善隣友好を象徴する」と述べた。


民団幹部ら一人ひとりと握手する金鍾泌首相

■新世紀へ共に歩もう

 公賓として日本を訪れた金鍾泌国務総理は、東京と大阪で行われた在日同胞との懇談会やレセプションパーティの席で、「最大の愛国者である在日同胞が熱望する地方参政権の実現へ、韓国政府として最大の努力を惜しまない」ことを約束した。また、金首相は、韓日が確認した「韓日パートナーシップ」の実践へ、在日同胞が民間レベルで両国を結ぶ「架け橋的役割」であることを強調したほか、「民団の役割が祖国統一に備え、朝鮮総連系同胞を包容していくところまで影響を与えていることは鼓舞的なことだ」と激励した。


■最大の愛国者と高く評価

 1日に都内のホテルで行われた午餐会には辛容祥団長をはじめとする中央本部役員と中央傘下団体長、関東と東北地区の民団代表ら60人が参加した。また、同日夕方に行われた民団中央会館での懇談会には地元東京をはじめ関東各地の幹部ら300人が参席した。

 民団中央会館を訪問した金首相はまず、8階会議室で中央本部三機関役員らが見守る中、揮毫を行った。


■「新たな1000年の創造と繁栄」

 金首相は「新たな1000年の創造と繁栄」と書き上げ、民団側に贈呈、在日同胞への変わらぬ母国愛に感謝の敬意を示し、「ともに新たな1000年を創っていこう」と呼びかけた。

 この後、金首相は在日同胞代表らが待ちかまえた大ホールに移動。ミスコリア在日代表の姜雅美さんから花束を受けた後、辛団長が歓迎のあいさつで「古くから民団と関係の深い金首相は、私たち在日同胞の首相のように親しみを感じている」とし、地方参政権をはじめとした在日同胞の地位向上へ最大の支援をして下さった金首相の訪問を心から歓迎します」と述べた。


「新たな千年の創造と繁栄」と揮毫する金鍾泌首相

■参政権、多方面で要請していく

 続いて、金首相があいさつ。金首相はとくに、永住韓国人に対する地方参政権問題についてふれ、「韓国政府は多方面で日本側に積極的に解決案を要請していく」と最大の支援をしていくことを示した。

 また、金首相は二・三世に世代交代しつつある同胞社会の変化や流れにもふれ、「若い世代への民族教育強化や母国との連帯事業を通じて民族のアイデンティティを自覚すると同時に本国・同胞社会との紐帯関係を強くしてほしい」と述べた。


■朝鮮総連同胞への包容対応評価

 金首相は母国訪問事業など民団の総連系同胞包容について「在日同胞社会が先頭に立って南北韓を和解と協力へ導く模範になることを願う」と要望した。

 また、外貨危機の際に展開した「外貨預金・送金運動」について「自発的な愛国心のもと民団が中心にって在日同胞が見せてくれた温かい母国愛には心の底か感謝している」と在日同胞の愛国心を評価、「このような同胞の愛国心にこたえるためにも政府は様々な支援対策を推進していきたい」と述べた。

 懇談会を終えた金首相は会場の出口に立ち、参加した同胞と一人ひとりと握手を交わし、参加者の歓迎に積極的に応えた。


■大阪でも350人集い懇談会

 金首相は4日、大阪市内で西日本地区の民団代表ら350人と懇談会を行った。

 朴栄玉夫人とともに入場した金首相は、金剛学園小の梁愛さん(小5)と建国小の高尚紀君(小5)から花束が贈られた。

 民団大阪府本部の洪性仁団長が「こうして懇談ができたことを参加同胞とともに感謝したい」と歓迎のあいさつを述べ、金首相は「最も同胞が多く住む大阪を訪れることができうれしい。統一に向け、粘り強く同胞の和合を展開してほしい」と呼びかけた。


東京韓国学校を訪れ、
児童たちと握手する朴栄玉夫人

■朴栄玉夫人が東京韓国学校訪問

 公賓として訪日した金鍾泌総理夫人の朴栄玉女史は三日午後、東京韓国学校を訪問した。

 朴女史は同校に到着後、児童会長の金鍾鉉君(小6)と生徒会副会長の廉スッキョンさん(高1)から花束を受け取った後、校庭で民族衣装を着て待ち受けた児童一人ひとりの手を握りながら激励した。

 孫サンチョル校長、丁栄哲PTA会長らの案内で授業風景や舞踊室、歴史館など、校内を見学しながら同校の沿革などの説明を受けた。

 また朴女史から同校にパソコンが贈呈され、図書室に設置された。


■日本各界代表にも「参政権」要請

 金首相は一日夜には中曽根康弘元首相、日韓親善協会の三塚博会長らをはじめ日本政界、経済界、文化人ら120人が参席した晩餐会に参加した。

 金首相は席上、「みなさんの在日同胞への多くの支援を知っている」としながら、「地方参政権実現へ多くの関心を注いでほしい」と呼びかけ、「日本社会で差別なく暮らし日本の発展に寄与していくことは、韓日善隣友好に大きな役割を果たす」と強調した。

 これに対し三塚博会長は「日韓親善協会の願いでもある地方参政権実現は大事な問題であり、この実現が真の家族関係になる」と述べ、自民党内で真剣に取り組むよう働きかけることを約束した。

(1999.09.08 民団新聞)



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