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地方参政権実現へ待ったなし



 10月4日、連立政権発足のための自民、自由、公明3党党首会談で、本団が要望してきた永住外国人への地方参政権付与について、実現することで合意に至り、今後は法整備の時期をいつにするかで3党が調整することになりました。

 このことはこの間、本団が日本政府や各政党にねばり強く要望してきた早期立法化が実を結びつつあることを示しています。

 成立時期については、公明党が次期臨時国会での法整備を要求していますが、自民党が党内の手続きを理由に難色を示し、来年の通常国会での処理を模索しているようです。先の通常国会で実質審議に入り、現在継続審議となっている法案については、3党が共同修正し、成立させることで合意しています。

 法の成立は、戦後一貫して日韓親善の歴史をつくってきた自民党が中心になって決着するのが最もふさわしいものです。これ以上の先送りをせず、2000年代を迎える前に成立してほしいと願っています。この問題は、「20世紀中に」立法化すべきであるというのが本団の願いです。


■韓国政府の参政権付与

 すでに、韓国政府は去る9月8日、5年以上居住する在韓外国人に地方選挙権を付与する特例法を制定し、来る2002年の統一地方選挙から施行する方針を明らかにしました。

 これは日本側の慎重論にある相互主義に対備したもので、同時に大統領が進めている21世紀の韓国の国際化と民主主義の成熟に必要であるとの考えからです。

 このままでは韓国の方が先に定住外国人に地方参政権を付与するようになるかもしれません。本団としては、アジア、ひいては世界を先導する経済大国日本がまず先に実施すべきで、その土壌は充分に熟していると考えます。


■日本社会のコンセンサス

 すでに私たちは立法化に必要な日本社会のコンセンサスを得ています。

 第一に、すでに司法のコンセンサスを得ています。95年2月の「違憲ではない」という最高裁判決がそれです。

 第二に、私たちが定住する地域自治体のコンセンサスを得ています。現在全国自治体のうち千四百二十五の議会が意見書等を採択しています。私たちの大多数が居住する都市部(約七百市・特別区)では、すでに七五%が地方参政権付与を政府に求める決議をしています。

 第三に、日本の世論のコンセンサスも得ています。この3月大手新聞社が統一地方選挙を前に行った世論調査で、65・6%が定住外国人の地方参政権を容認しております。特に日本の将来を担う若い世代では80%近くに達しています。

 今残っているのが、「国会のコンセンサス」です。すなわち国会での立法化であります。上記の三つのコンセンサスを充分に認知し、一部の反対論のために立法化をこれ以上遅らせるのは得策ではありません。

 永住外国人に対する地方自治体参政権の付与は、21世紀の日本の国益に資するものです。

 第一に、外国人住民の信頼を得ます。第二に、地域社会の発展と活性化に貢献します。第三に、開かれた人権国家としてアジア、ひいては世界の評価を得ます。

 外国人危険論、感情的な排除論は日本にとってプラスにはならないものです。

 日本の真の利益と国際社会における日本の役割を果たしていくためにも、時宜にあった早期の立法化が望まれています。

(1999.10.06 民団新聞)



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