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ハルモニ聞かせて同胞の歴史

川崎市桜本小で「ふれあい学習」



盧末南ハルモニの話を聞く児童たち

■ハルモニ招き在日の昔話を聞く

 【神奈川】在日同胞の集住地区という地域的特性を生かした「ふれあい学習」が1日、川崎市立桜本小学校(菊池恒雄校長)で行われた。同学習は4年生以上を対象とした横断的教育活動の一環で、講座は生徒自らの興味・関心で選べる。今年は九つの中から、在日同胞一世を主な講師とする「在日一世との交流」に最も多くの受講希望者が集まった。

 「ふれあい学習」は10年以上続く桜本小独自の教育的取り組み。異年齢集団で一つのグループを構成、興味ある課題について地域の人々から体験的に学んできた。今年からはこの取り組みをさらに進め、日本文部省の「総合的な学習」に準じて、自ら選んだ課題について疑問点を調べたり、発表するなど、児童による主体的、創造的な学習に重点を置くようになった。

 今年の主な講座は「韓国料理」「サムルノリ」「在日一世との交流」「陶芸」「車椅子体験」、「手話」などの九講座で来年の1月まで毎月1回、4回の講義が続く。各回ごとに児童の自主的な研究発表があるため、実質的には8回の講座となる。

 同校で事前にどの講座を希望するか、4年生以上151人に自由に選択してもらったところ今年は「在日一世との交流」が全体の21人と最も多くの興味と関心を集めた。1日の第1回講座では、地元在日同胞一世高齢者の交流サークル「トラヂ会」から世話人の盧末南ハルモニ=川崎区桜本在住=が語り部となり、孫のような年齢の子どもたちを前に今日まで86年に及ぶ苦難の半生を語った。

 盧ハルモニは保母になりたいと25歳で大阪へ単身渡日した。しかし、戦時下で勉強の夢はかなえられず、生きるためにヤミ商売にも手を染めた。川崎市内に移ってからも過酷な民族差別のなか「人間としての扱いはされなかった。奴隷みたいに使われてきた」と淡々と話した。

 盧ハルモニを囲むようにして話を聞いていた児童の表情はというと、特に高学年ほどショックを受けた様子がありあり。座っていた場所も6年生が盧ハルモニの前に陣取るなど、関心の高さを如実に示していた。

 このほか、「料理教室」では、川崎市ふれあい館の金順子さんと李相粉さんを講師にチヂミ作り、「サムルノリ教室」では林慶一さんがチャンゴの基礎を手ほどきした。

 桜本小学校は全校生徒290人のうち16%が外国籍の児童。近年ペルー、ボリビア国籍も見られるようになったが、いまでも圧倒的多数は韓国・朝鮮籍で占められている。

(1999.10.06 民団新聞)



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