民団新聞 MINDAN
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在日同胞の一体感つくろう



 十月に入り、今年も各地方で「十月のマダン」が開催されています。地方の実情にあわせて、運動会や焼き肉パーティ、ボウリング大会などで地域に住む一世から四世までが集い、楽しんでいます。

 「十月のマダン」は、民俗行事や各種スポーツ活動などを通じて地域の同胞が集える祝祭の場をつくろうという精神から九二年に民団の方針として打ち出されました。第一に、在日同胞の全世代が集まり、日常生活で孤立しがちな同胞同士の交流を図って欲しいという願いが込められています。そして何よりも、受け身の鑑賞者ではなく、自らが表現する能動的な場としてのマダンになってほしいというのが二番目の願いです。

 要するに、同じ地域に住む同胞が一堂に集まって大チャンチを開きましょうというものなのです。民謡にあわせて踊ったりするもよし、マッコリを飲みながら語らうのもよし、と日常生活ではなかなか味わえない同胞というスパイスがふりかけられた集いなのです。


■全世代の参加でより効果的に

 私たち在日韓国人は、日本の中で少数者として生活しています。また各地域に分散して住んでいるために、日常的に同胞と接する機会は多くはありません。年に数回の祭祀で親戚が寄り集まる機会はあるでしょうが、数人、多くても十数人の集いでしょう。

 過去、「十月のマダン」に参加した同胞たちからは「こんなに多くの同胞がいたのか」「心強い」という声が寄せられています。日本の中の少数者という考えに縮こまるのではなく、同じ境遇にある人たちが集まることによって、一体感を感じる場になってほしいと開催されています。

 今年は昨年より多い地方で開催が計画されています。また、これまで県本部単位で開かれていたマダンを、支部単位で開催するところも増えつつあるようです。「十月のマダン」が初めて実施されて以来、八年が過ぎようとしています。地方では、どのような催しで団員たちに楽しんでもらおうかと試行錯誤をくり返してきました。

 一方で、舞台や出し物も、韓国から芸能団を招請して、団員が客席から見るだけの「鑑賞型」から、団員自らが伝統舞踊などを学んで披露するなど、「手作り型」へと発展している地方も増えています。自分たちで作り、自分たちが楽しむというマダンの趣旨に沿ったものといえそうです。

 ここ一、二年は二〇〇二年ワールドカップ韓日大会の盛り上がりを反映して、同胞交流という観点に、日本市民との共生・共栄の視点をプラスして韓日市民交流をメインにするマダンも表れました。千葉や愛〓などがその例です。


■伝統文化を子弟に伝えよう

 在日同胞社会は、世代を次ぐにつれて民族的な文化が薄れていくのは仕方がないことかも知れません。しかし、私たちの努力次第で子弟たちにより多くの伝統文化や風習を残していくことができると信じます。

 一世たちは久しぶりの旧交を温め、二世、三世の壮年層が地域同胞との交流を深めることを見て、青少年層が自らが立っている位置を知ることができると考えます。一世から四世まで、全世代が集まることによってマダンはより効果的になるのです。

 秋の一日、飲むもよし、歌うもよし、踊るもよし。キムチをほおばりながら、私たちが持っているすばらしい民族文化を楽しむマダンに、多くの同胞が参加しようではありませんか。

(1999.10.13 民団新聞)



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