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地方参政権、大詰め迎え、集中活動へ

時期臨時国会に照準あわせ
全国地方団長・中央傘下団体長会議で確認



地方参政権の放棄立法化へ
集中活動実施を決めた全国団長会議

 九九年度後半期全国地方団長・中央傘下団体長会議が九日、中央会館で開かれた。会議では去る四日に自民、自由、公明の三党間で合意した「定住外国人地方参政権付与の法案」提案を受け、十月末にも予定されている次期臨時国会に照準を合わせ、十月十五日から十月末日にかけて陳情活動を集中しながら永住韓国人の地方参政権早期立法化を促進することを決めた。地方議会に対する意見書採択では、未採択の十三県議会をはじめ市議会、主要町議会に集中して要望活動を行う。

 辛容祥団長は冒頭あいさつで「民団は指紋制度を撤廃し、子孫にいい財産を残した。次は地方参政権獲得だ」と前置きし、「自自公三党の代表が、地方選挙権を成立させると共同文書にサインしたことで、実現の目途がついた。自民党総裁の小渕首相が合意した以上、一部の反対論、消極論は乗り切ることができる。各地方本部は自信と強力な押しで意見書採択百%達成を」と訴えた。

 河丙オク議長、張煕東監察委員長も「後半期は仕上げの時期。全力を尽くして獲得を」と強調した。

 団務報告では黄迎満事務総長が、自民党の森喜朗幹事長のインタビュー記事を引用しながら、自民党が「政治決断の時期」と判断していることを紹介し、機が熟していることへの地方団長らの共通認識を図った。また、韓国政府が決めた在韓外国人への地方選挙実施についても、二〇〇二年に先延ばしするのではなく、「法は即日施行」の観点から民団として韓国政府に要望し、法務部長官の了承を得ていると明かした。

 地方参政権の意見書採択では、六月議会で茨城県、兵庫県の伊丹市と明石市、東京都世田谷区など八自治体が、九月議会で茨城県つくば市、兵庫県三木市、広島県東広島市、愛媛県新居浜市、佐賀県鳥栖市など二十五自治体が採択し、両月の議会で三十三自治体が加算された。

 中でも兵庫県下では一気に十一自治体もの採択を達成し、秋田県下では九月二十一日の稲川町の採択で五十%に乗せたことが評価された。採択自治体の数は、全国三千三百二のうち千四百二十五を数え、採択率は四三・一五%、日本の人口比では七三・二一%(十月九日現在)となった。

 報告ではこのほか、地方参政権についての本国政府の意思を日本の各界に反映させた金鍾泌国務総理の訪日や全国十九地方で実施された組織研修、約二百五十人がソウルに集まった全国支団長会議、二千人規模の婦人会の全国研修など、学習と実践、連帯強化の活動を高く評価した。


同胞実態調査も推進

 団務示達では、自自公三党の連立政権による地方参政権問題への動向を注視しながら、早期立法化に向けて全国の民団が統一陳情活動を集中して行うことを確認した。中央本部は日本政府、各政党などの政界関係者、地方本部は当該地方選出の国会議員に直接面談して運動を進める。と同時に地方議会への意見書採択を継続していく。

 辛団長は「小渕首相のお墨付きは、採択を得る大きな担保となった。急いで十二月議会への対応を」と団長らを強く促した。

 二十一世紀の豊かな同胞社会を築く上での基礎資料となる同胞実態調査、意識調査は、コンピュータによる資料化と民団組織の方向性提示や基本施策に活用する。今年中に準備を完了し、専門家で構成する「調査推進委員会」を経て、二〇〇〇年一月から五月に実施する予定だ。

 会議では地方団長から様々な意見が出された。地方参政権運動では、これまで六年間の運動と日本側の対応、自自公三党の合意による法案提案という現時点での状況を踏まえ、一日も早い地方選挙権獲得のために国会議員との個別面談を全国的に推進することで意見が一致した。

 このほか、中央幹部による地方巡回や組織研修の強化、東邦生命破綻による同胞の不安解消、四国での移動組織学院開催、人気が高まっているインターネットへの対応として同胞の科学者を「民族大学」講師に選定、全国の婦人会会長に中央代議員権の配定、朝鮮総連とのゴルフ交流やソウル、平嬢の合同訪問団の呼びかけなど、地方本部からの意見は多岐に渡った。

 会議では地方参政権の立法化促進を中心にした後半期の活動に、全国組織が一丸となって再スタートすることを確認した。

(1999.10.13 民団新聞)



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