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済州島と済州道



 昔、記事に「済州島」と表記したら、済州道出身の読者から電話があり、大目玉を食った記憶がある。

 曰く「済州道は『島』じゃない。韓国の九つの行政区域『道』の一つだ。バカモノー」という次第である。言われてみればもっともな話ではないか。

 昔と違って最近は記事もワープロで書く(打つ)。昔は分からない漢字は辞書で引くしかなかったが、今ではワープロの辞書変換が頼りだ。ワープロが普及するにつれて、漢字力が落ちるといわれてきたが、その例に漏れない。

 日本語の辞書は「さいしゅうどう」と打っても「済州道」とは変換してくれないものが多い。一方、韓国で最も大きなシェアを持つ「アレアハングル」は「済州道」と変換する。というよりそれしか出てこない。他のワープロには済州道と済州島の両方が候補にあがるものもある。

 もっともハングルで書けば、済州道も済州島も同じ表記。見た目は全く分からない。

 済州道は一度訪れたことがある。城山日出峰には行きそびれたが、世界一の溶岩洞窟・万丈窟、漢拏山から流れ落ちる滝、おいしい海鮮類の食事と忘れられない体験をさせてもらった。

 済州道庁には在日同胞を対象とする僑民課が設置されており、学校を建て、橋を架けるなど郷里の発展に尽くした在日同胞のために様々な便宜を図ってくれる。

 そう考えれば、愛郷精神の強さが「島じゃない、道だ」というお叱りにつながったのだと思う。

 23日から済州「島」で第2回の韓日閣僚懇談会が開かれたが、日本の各紙は「島」で統一されていたようだ。同様のお叱りの電話があったなら、愛郷のたまものと、許してあげていただきたい。(L)

(1999.10.27 民団新聞)



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