民団新聞 MINDAN
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「在日」の存在をマダンで広げよう



 「天高く馬肥ゆる秋」になりました。季節を彩る紅葉と涼風に誘われて、どこかへ行楽に出かけようと思っている人も多いことでしょう。

 民団では創団月の10月を記念し、全国で日本人も巻き込んだ共生の「10月のマダン」を開催してきました。韓国語で広場を意味するマダンでは、日本の食文化に根付いた「焼き肉」などの韓国料理が並べられ、再会を喜ぶ同胞の老若男女が語り、歌い、踊る姿があちこちで見受けられました。また、スポーツの秋にちなんで運動会で心地よい汗を流した市民団体もあります。

 11月になると、民団主催のマダン以外にも地域のマダンが目白押しです。列車を乗り継ぐ旅の情緒も魅力的ですが、たまには近くのイベントに顔を出してみませんか。日常生活では味わえない新しい発見がきっとあるはずです。


■地域に根付いた同胞のお祭り

 手元に届いたビラの数々は、11月3日の「文化の日」を皮切りに、マダンの第2弾が始まることを教えてくれます。

 主立ったものを紹介すると、まずは大阪の「四天王寺ワッソ」が筆頭でしょうか。古代の日本を訪れた東アジア各国の使節の姿を、聖徳太子ら日本の文官武官が出迎える歴史絵巻の再現で、すでに毎年約50万人もの観客を集める恒例行事に定着しました。同じ日、京都では在日同胞と日本人の交流の場、手作りの「東9条マダン」が同胞多住地域で行われます。

 5日の「たからづか民族まつり前夜祭」をはさんで、7日には「私の街はアジアの街、私の街は世界の街」とのかけ声のもと、地元の民団大阪府布施支部、総連東大阪北支部が参加を呼びかける「東大阪国際交流フェスティバル」と沢知恵コンサートを盛り込んだ高槻市の「大野遊祭」、14日には「あつまろか東はりまマダン」と「伊丹マダン」が開かれます。

 また、一つのコリアを願って開催されてきたワンコリアフェスティバルは、今年が15周年の節目。特別企画として7日に生野区のコリアタウンで「南北の壁」を越える音楽共演を行います。音楽は国境を越えると言いますが、祖国統一への想いを枯れさせたくないものです。

 趣向の変わったところでは、今年で3度目を迎える日韓プロ野球スーパーゲームがあります。6日(ナゴヤドーム)、7日(岐阜長良川球場)、9日(福岡ドーム)、10日(東京ドーム)での熱戦は、2002年にサッカーワールドカップを共催する両国にとって、市民レベルの親善交流を深める大きな機会になるでしょう。


■同胞の絆温め、地域と共生へ

 在日同胞は1世の時代から今日の3世、4世の時代まで、世代を超えて日本の地で生活してきました。韓国籍であれ、いわゆる「朝鮮籍」であれ、日本の社会に住む住民にほかなりません。

 それぞれの地域で行われるマダンは、同胞と日本人が出会い、異なる互いの文化を知り、理解する上で貴重な場になります。「日本人には在日の問題がわからない」と嘆く前に、せっかく同胞が地域で立ち上げたマダンを、「食わず嫌い」の消極的な姿勢で傍観するのではなく、日本人を誘って「ここに在日あり」の気概を示してほしいと願います。

 そして、せめてマダンくらいは民団、総連間の溝をなくし、総連同胞も共に参加できるよう手を差し伸べようではありませんか。高い秋の空の下での同胞和合、それがマダンの真髄だからです。

(1999.10.27 民団新聞)



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