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在日同胞の財産守れ

新韓銀行、1人千株保有呼びかけ



■東京でも投資説明会

 「在日同胞1人当たり千株保有運動」を呼びかけている新韓銀行(李煕健会長、羅應燦副会長)が大阪に続き東京でも21日、投資説明会を開いた。会場となったホテルには170人余りが参加、新韓銀行の将来性に高い関心を示していた。

 在日同胞の100%出資で設立された新韓銀行だが、国内外での評価の高まりとともに在日同胞の持ち株比率が26・3%と相対的に低下した。一方、欧米では約40%、国内でも34%前後と買い進まれている。このままでいけば在日同胞による経営権そのものが揺るぎかねないだけに、あらためて「在日同胞1人当たり千株所有運動」を提起した。

 新韓銀行の現況を説明した羅應燦副会長は「在日同胞の持ち株が25%を下回る事態になったときは、韓国の金融関連法の適用を受け、役員選任や運営の面で在日同胞の指導が不可能になる」と危機感をにじませた。

 祖国への素朴な民族愛を持ち続けた在日同胞一世が高齢化していくなか、新韓銀行が永遠に在日同胞の銀行として生き残っていくためには、二世以降の世代への代替わりが欠かせない。羅副会長は「千株を持つことで株主総会に出席でき、祖国とのつながりも太くすることができる」と子どもや孫のために株を購入するよう呼びかけた。

 また、民団中央本部の辛容祥団長も壇上から、「株を買うことで利益を得られるばかりか、銀行の経営を担っているという自負心も得られる。さらに祖国愛も育てられる」と投資メリットを強調した。

 新韓銀行の株価は10月20日現在で12,850ウォン。世界的な投資専門会社として知られるメルリンチ社では18,000ウォンから22,000ウォンを適正株価と見ているだけに、「最低5000ウォン以上の投資効果が期待できる」(羅副会長の話)という。

 同行では「千株保有運動」を通じて在日同胞の持ち株比率を三四%にまで引き上げることを目指す。投資説明会はこの後、福岡でも開催。さらに横浜、名古屋でも開催する予定。


■在日同胞出資の初銀行
 韓国で最も信頼度高い新韓銀行

 在日同胞が100%出資して1982年7月7日に設立された韓国初の純粋民間銀行。

 BIS基準による自己資本比率15・03%は国内各銀行のなかで最高水準、逆に不良債権比率は98年以降減少を続けており、現在は国内最低水準を誇る。最近の大宇事態の影響で韓国の銀行銘柄が軒並み株価を下げるなか、大宇関連支出が最も低かった。

 収益性でも国内では群を抜いており、今年度の目標に掲げた1兆ウォンの業務利益は「無理なく可能」と見られている。来年からは毎年5000億ウォンの収益を見込んでおり、世界有数の銀行と肩を並べる日も近いという。

 今年、国内の格付け機関(韓国信用評価、韓国信用情報)から最高ランクのAAA評価を受けた。海外からの評価も高く、「ユーロマネー」誌から96年、97年と2年連続で韓国最優秀銀行に認定された。

 総資産45兆2673億ウォンは国内第6位、自己資本3兆1155億ウォンは同じく第3位。本店はソウル市中区太平路2街120番地。営業店は334カ所、日本国内にも東京、大阪、福岡に支店を持つ。


■安値のいまが買うチャンス
 懇談会で参加者

 投資説明会後に開かれた懇談会では、参加者から「安値の今が買い時」と関心を示す声が多く聞かれた。

 新会社で専務に就任したばかりの金英一さん(41)は「いま買うのはいい時期なのでは。為替リスクはあっても、興味はある」と話していた。西東京で採石業を営む在日同胞(42)も「(辛容祥)団長の話に感銘した」と購入に前向きだった。

 金一夫さんは「千株でも100万円余り。新韓銀行の健全性を考えれば日本の株を買うよりもずっといい。友人にも勧めたい」と話す。

 席上、辛容祥団長を通じてその場で株購入の意思表示をした在日同胞(55)は、伊豆で重機土木業を営む。「伊豆ではもう頭打ち。韓国でなにか事業をしたいと考えている。これから伸びる産業はなにか。投資先のアドバイスも期待している」と述べた。

 これには「どういう反応が出るか心配していた」と語る羅副会長も、「一世がつくった銀行を二世以降の世代が守ろうとしている。力強く思う」とほっと胸をなでおろしていた。

(1999.10.27 民団新聞)



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