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地方参政権、早期実現へ積極努力

韓日・日韓議連が共同声明



永住韓国人の地方参政権早期実現へ
日本側が積極努力していくことを発表した
韓日・日韓議員連盟の合同総会

 韓日・日韓議員連盟(韓国側・朴泰俊会長、日本側・竹下登会長)は6日、都内のホテルで第26回合同総会を開き、両国間の懸案事項の解決と共同努力に向けて真摯な意見を交わした。席上、韓国側がここ数年間、最重点課題としてきた在日韓国人への地方参政権付与問題で、日本側は「今年度中の方向付けに努力する」と明言。共同声明でも「日本側は早急な実現へ積極的に努力する」と盛り込んだ。

 開会式で三塚博日韓議連副会長が、「合同総会が豊かな成果を収め、日韓両国民の期待に応えて下さることを祈念する」との竹下登会長のあいさつを代読。来賓の小渕恵三首相も日韓交流を今後も推進していくとの考えを明らかにした。

 一方、韓国側は朴泰俊韓日議連会長が「2002年W杯の成功的開催と、最重点課題である在日韓国人の地方参政権問題が今回の合同総会で締めくくられるよう、特にお願いする」と強調。基調演説に立った梁正圭代表団長も「近い将来に(地方参政権付与の)法制化が実現するよう、日本側の協力を要請する」と述べた。

 この後、分科会に入り、安保・外交委員会、経済・科学技術委員会、社会・文化委員会、21世紀委員会、在日韓国人地位向上特別委員会に分かれて協議した。

 在日韓国人への地方参政権付与問題は、在日韓国人地位向上特別委員会の主要テーマとして、両議連代表の間で議論が交わされた。

 日本側は、自民、自由、公明3党で「永住外国人に対する地方参政権付与に関する法律案」を「成立させる」ことで合意し「連立与党内で前向きな議論が始まった」と説明、「今年度中の方向付けに努力する」ことを明らかにした。これは「新しい世紀を迎える前に法制化が実現されるべきである」との韓国側の要求に応えたもの。韓国側もこれを歓迎した。

 なお、従軍慰安婦など一部の戦後処理問題については「人道的にも早急な解決が望ましい」との見解で双方が一致した。

 再開後の本会議では、各分科委員会の報告が了承され、「共同声明」が採択された。

 今回の合同総会には日本側80数人、韓国側38人の国会議員が出席した。開会式には来賓として伊藤宗一郎衆議院議長が出席して祝辞を述べ、斉藤十朗参議院議長のあいさつも代読された。このほか公明党の神崎武法代表、韓国側からは金ソッキュ駐日大使と辛容祥民団中央本部団長が出席した。席上、天皇訪韓と在日韓国人への地方参政権付与を求める金鍾泌総理のメッセージも代読された。次回は来年、韓国で開催される。


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未来志向で共通の認識

 韓日・日韓議員連盟の第26回合同総会は、「21世紀の新たなパートナーシップ」の構築に向けた実質的な対話の場となった。

 背景には昨年10月の金大中大統領の訪日をきっかけとする両国首脳の頻繁な相互訪問で、かつてないほど良好な韓日関係が築かれつつあることが大きい。過去に区切りをつけ、未来志向の新たなパートナーシップを構築していきたいとの共通認識があったればこそといえる。

 「共同声明」には盛り込まれなかったものの、分科会で日本側代表団が「永住外国人に対する地方選挙権付与に関する法律案」の成立に向けて「今年度中の方向付けに努力する」と明言したのは、その象徴的な一例といえる。韓国側もこれを全面的に歓迎した。

 こうした成熟した韓日関係を追い風に、具体的な協力の成果を生みだしていこうとの熱意も、各分科会報告から見て取れた。

 これまで非公式で存在した「21世紀委員会」も今回から正規の常任委員会に格上げされた。同委員会は「青少年交流の活性化及び青少年問題の共同研究の為の協力方案」についてこれからも活動を続けていく。特に、韓日間で今後10年間をメドに1万人の中学生交流を図るとした小渕首相の構想を実現させるべく「議連メンバーの子弟から相互ホームステイを実現させよう」としていることも注目される。双方は今後、新たな青少年交流プログラムを開発していくことで一致した。


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韓国の絵本日本で紹介

 これと関連、社会文化委員会では、各分野で青少年の相互理解を深めていくためにはどうするべきかが話し合われた。日本側からは来年の「子ども読書年」に合わせ、韓国人作家の本、特に絵本を日本で広く紹介したいとの建設的な提案があった。また、韓日共同の映画作りを奨励する声も出た。

 人的な往来では、2002年サッカーW杯開催時に韓日合わせて300万人以上といわれる観客をどのようにスムーズに移動させるかが話し合われた。韓国側からはビザの問題、特に日本の出入国管理体制のあり方について注文が付き、日本側も努力を約束した。


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漁業協力へ話し合いも

 このほか、「経済科学技術委員会」では、漁業協力の一環として済州道などに「水産資源増殖センター」の設立を実現していくことについて前向きに話し合っていくことになった。将来的には韓日共同海洋牧場の開発も視野に入れている。

 日韓議員連盟発足から27年。直接語り合うことにこそ意味があると考えられていた時代はもう過去のものになりつつあるようだ。


□■決議文■□

 韓日・日韓議員連盟は、第26回合同総会を1999年11月6日日本国東京で開催し、次のように合意した。

1 日韓両国代表は、新しいミレニアムが始まる21世紀を迎える歴史的な時点において、新しい2000年代の両国関係発展の望ましい在り方に対する共通認識を確認し、国際社会での共同協力を通じて両国首脳がすでに合意した「21世紀に向けた日韓パートナーシップ」の確立に全力を尽くすことに合意した。両国代表はまた、昨年10月の金大中大統領訪日、今年3月の小渕恵三総理大臣の訪韓などを機に、両国関係が新たなパートナーシップを構築し、さらに高い次元の友好協力関係へ向けて発展しつつあり、両国国民間の相互理解と信頼も深まっていることに満足を表明した。

2 両国代表は、韓半島の平和と安定に関連して、北韓のミサイル問題など対北韓政策における韓日米国間の強固な協力体制を評価し、それをさらに前進させるための努力を続けるべきであるということに意見の一致を見た。また、北東アジア地域の安定と繁栄を保障するための、この地域諸国間の多国間安保協力対話の必要性に関して意見を交換し、その実現のために共に努力することに合意した。

3 両国代表は、1997年、東南アジアで始まったアジアの金融・通貨危機と関連して、韓国が金融構造調整など果敢な経済改革に努めて危機を克服したのを評価し、そのような国際金融危機の再発を防止し、新たな経済環境に迅速かつ適切に共同対処できるよう、両国間の協力体制を強化することに意見の一致を見た。

 両国代表はまた、両国貿易間の拡大均衡が重要であるということの認識を共にし、そのために投資の拡大、産業技術協力の拡充などの分野で、より積極的な努力を傾注すべきであるということと、ニューラウンドでの農業問題協力を含む対WTO対策など、多国間フォーラムでの両国間協力をより緊密にしていくことを確認した。

 また両国代表は、漁業協力の一環として、済州道などに「水産資源増殖センター」の設立を実現することについて前向きに話し合っていくこととした。

4 両国代表は、両国政府が先般韓国済州道で開催された韓日閣僚懇談会においてW杯サッカー大会が開催される2002年を「韓日国民交流の年」とすることに合意したのを大きく歓迎し、W杯大会行事の成功的開催を通じて、青少年、文化、地域間交流、観光など多様な分野で交流事業のさらなる拡大を希望した。

 両国代表は、韓国政府の二度に亘った日本大衆文化開放措置を高く評価し、それを機に文化の世紀と呼ばれる21世紀における両国文化協力のために努力することに合意した。

5 両国代表は、北東アジア地域で深刻化している環境汚染の拡散に憂慮を表明し、その拡散防止のための関係各国間の情報交換と相互協力が要求されているということに、意見の一致を見た。

6 両国代表は、将来を担う両国青少年の重要性を改めて認識し、政府、地域、民間分野で推進中の各種交流事業をさらに拡大するため、緊密に協力することにした。

 両国代表はまた、学級崩壊など日韓両国が共に直面している、教育現場の危機的状況について認識を共にし、その解決方策を共同で研究することについて意見を交換した。

7 両国代表は、在日韓国人に対する日本国内における地方選挙権付与に関する問題について深く論議し合った。新しい世紀を迎える前に法制化が実現されるべきであるとの韓国側の要求に対して、日本側は、自民、自由、公明の連立与党の政策合意に盛り込まれ、連立与党内での真剣な論議が始まったという状況を説明し、早急なる実現のため積極的に努力すると述べた。

 両国代表は、いわゆる従軍慰安婦など一部の戦後処理問題は人道的見地からも早急な解決が望ましいということに意見を共にした。

8 両国代表は、第27回合同総会を2000年に韓国で開くことにし、開催日時など実務事項は同年上期に日本で開かれる合同幹事会議で決定することに合意した。

(1999.11.10 民団新聞)



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