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参政権、自民党内の早期調整を



 本団が早期成立を強く求めている永住外国人への地方自治体選挙権付与について、自民党は12月から集中して勉強会を開くことを明らかにしています。

 これは、自自公3党幹事長会談に出席した自民党の選挙制度調査会長が、「責任を持って党内の慎重派議員を説得したい。臨時国会は無理だが、3党で出すのが一番望ましい」と調整案を出していたからです。

 連立政権発足において、自自公三党は永住外国人の選挙権付与を成立させることで合意しました。

 しかし、法整備の時期をいつにするかで自民党がいつまで経っても態度を明確にしてきませんでした。

 これに対し、公明・自由の2党は自民党の先送りに業を煮やし、やむを得ず2党だけでも今臨時国会に修正案を提出し成立をめざすことを表明、自民党幹事長等もこれをいったんは容認していました。

 そこへこの調整案が出て、今臨時国会への法案提出はむずかしくなっています。


■最近の憂慮すべき動き

 本団では自民党内の早期調整と誠意ある態度を注視しています。しかし、憂慮すべき状況も出てきています。

 10月下旬、済州道での日韓閣僚会議の数日前、永住外国人に対する地方選挙権付与に反対する自民党内一部議員たちは、小渕首相に要望書を提出しています。

 「永住外国人への地方参政権付与が拙速に法制化されれば、後世に取り返しのつかない禍根を残すことになる」と。

 これほど私たち在日韓国人を愚弄する言葉があるでしょうか。戦後半世紀以上共に日本の繁栄のために生活してきた私たちが、住民としての基本的権利である地方自治体選挙権を持つことが、何故、「後世に取り返しがつかない禍根」となるものなのでしょうか。

 これは、在日韓国人だけでなく、共に日韓友好親善の歴史をつくってきた韓国と、ひいては両国の親善に尽力してきた日韓両国民をも愚弄するものであります。在日韓国人の人権を考えず、どうしていつまでも排除しようとするのでしょうか。


■今年度内の立法化実現を

 私たちは国政レベルの選挙権を望んでいません。それを望んだ裁判はすべて却下されております。

 私たちは住民として生活している地方自治体の選挙権を望んでおり、それについては最高裁が憲法上禁止されているものではないと判断しているのです。しかも最高裁第三小法廷の判事5人全員が一致した意見を出していることは無視できない大きな重みがあります。

 先般、週刊誌に女性ジャーナリストが、「永住外国人の地方参政権は亡国への第一歩である」と決めつけているのは、在日韓国人60万の心情をまったく逆なでするものであり、悲しい限りです。私たちの生活実態をよく知らず、一方的な資料と情報で日本国民に誤った観念を与えることこそ、日本の国益を損なう「亡国」的行為と言えないでしょうか。

 また、「帰化」せよという意見がありますが、最高裁は日本国籍でなければ駄目だとは言っておりません。地方自治体に限っては「外国人のうちでも永住者」であれば禁止されないと言っています。

 私たちが求めている地方選挙権は、一言でいえば、「住民として正式に認知」してくださいというものです。狭量な国家主義に飛躍せず、日本の将来のためにむしろ歓迎する姿勢が望まれているのです。

(1999.12.01 民団新聞)



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