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共生社会をどうつくる

同胞市民団体がシンポ



■日本国籍取得論のぜひも論議

 韓国・朝鮮籍を保持する特別永住者が漸減する一方で、増え続ける日本国籍者。この事実を見る限り、日本法務省の現職官僚が20年前に予測したような事態になっている。21世紀を前に「これから在日をどう生きるのか」。「民族共生教育をめざして」学校や地域社会に働きかけてきた同胞保護者、日本人教員らが話し合った。

 テーマは「在日をどう生きるか」。「民族共生教育をめざす東京連絡会」(金敬得・田中宏共同代表)と「民族共生教育をめざす東京保護者の会」(金敬得代表)が共催した。今春から連続開催してきた講座の締めくくりとして11月21日、都立文京高校で行った。


■制度的差別、内部から変革

 パネラーとして田中宏さんと金敬得さんの両代表のほか、荒川で同胞子供会を主宰する呉崙柄さん、都立西高教諭の金玉煕さん、都立文京高教諭で「在日韓国・朝鮮人生徒の教育を考える会世話人」の鈴木啓介さんらが出席した。

 問題提起した呉さんは、国籍を維持しながら民族的に生きられる社会、制度をつくっていくとの課題を次世代にまで託していくのは難しいとの見通しを述べ、「権利として日本国籍を取得、韓国系日本人として日本の中の様々な制度的差別を変えていくことこそが民族の生き残る道」との持論を展開した。

 確かに在日韓国人の地位、処遇は一部で改善されてきた。しかし、「国民国家」を標榜する日本では、外国人の権利に一定の制限を設けている。呉さんにすれば、いまのままでは「子どもたちに将来の夢を与えられない」危機感から出た言葉のようだ。


■「国民国家」の打破が優先

 これに対して金敬得代表は多民族・多文化を認めようとしない日本社会の現実を指摘、「日本国籍を取っている人たちがコリアンとして生きていける環境を整えることが優先課題だ」と述べ、既成の国民国家の枠組みを絶対的なものとする日本国籍取得論には反対との立場を鮮明にした。

 その理由として金代表は「歴史的にも在日韓国人が闘い取ってきた権利獲得闘争の結果、全外国人の権利の底上げにつながった」ことを挙げた。

 これからも内外人平等の先頭に立つとの金代表の発言は、各パネラーからも肯定的に受け入れられた。  「保護者会」の金早子さんは「権利のための日本国籍を取っても、子どもたちのアイデンティティーはどうなるのか。『在日』であることを全面に出して権利を認めさしていくほうが大事」と述べた。また、金玉煕教諭は大学生時代、親から「帰化」を勧められたが「帰化しても差別は残る。差別から逃れるための帰化はしない」と思いとどまった経験を語った。

 一方で李福子さん(保護者会)は、「帰化者が『在日』どうしの結婚から排除され、しかたなく本国からお嫁さんを連れてくる」例を挙げ、「韓国人の心の狭さを感じる」と在日同胞社会に根強い排除の論理を批判した。「民族共生の会」が開いた生きかたシンポ

(1999.12.01 民団新聞)



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