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在日同胞の役割がより重要に



 韓国と日本が共同開催するサッカーの2002年ワールドカップ(W杯)まであと2年半。公式マスコットが1日に発表されたのに続き、7日には初の公式行事である大陸別予選抽選会が東京で行われ、「いよいよ」との雰囲気が身近に感じられようになってきました。

 このような中、日本側組織委員会(JAWOC)の要請により民団中央本部の辛容祥団長がJAWOCの特別顧問に就任しました。JAWOC理事会の全員一致での決定を、私たち在日同胞は高く評価し、心から歓迎します。


■特別顧問就任を歓迎

 これまで日本では夏季・冬季オリンピック、アジア大会や各種世界選手権など、多くの国際的競技大会が開かれましたが、在日同胞がそれぞれの組織委員会で顧問などの役員には就いていません。

 辛団長はすでに韓国側組織委員会の諮問委員にも選ばれており、両国組織委員会で重要な役割を担うことになります。辛団長には在日同胞を代表して、名実ともに「韓日の架け橋」として両国の関係をより一層発展させることが期待されます。

 準備にあたっている両国組織委員会の連携は当初こそ多少のぎこちなさがあったようですが、最近はスムーズさを増していると聞いています。

 近頃の韓日関係は、過去のどの時期より良好だと言われます。W杯の共催決定が全般的関係に好影響を与え、互いをよい意味で意識し合い尊重し合う土壌が作られてきたのではないかと感じます。

 JAWOCでは特別顧問就任にあたり、「日韓の関係をより緊密にしていくうえで、日本に長く住み韓国の事情にも精通している民団の努力が必要になると思う」(那須翔会長)と説明し、準備活動と大会でのアドバイスを期待すると表明しています。

 在日同胞に対しては、遠藤事務総長が「韓国語のボランティア以外にも、いろいろ協力していただけることがあると思う」と語るように、大会成功に向けて全般的分野での協力が期待されています。


■地域住民として参画

 民団はすでに「在日韓国人後援会」を独自に結成し、様々な支援活動をしていくことを決めています。これと合わせて今回の顧問就任は、「在日同胞が日本社会の地域住民として参与していく絶好の機会」(辛団長)になるに違いありません。

 民団は今、組織を挙げて地方参政権の獲得に向けた運動を展開しています。在日韓国人を地域住民として認め、日本社会で共生していくための基盤を制度的な面からしっかり作っていこうとするものです。

 地方参政権については、政界や言論界の一部に在日同胞の実態をよく知らず、思いこみや一方的な資料によって反対論を唱える人士がいます。狭量な国家主義にこだわらず、むしろ日本の将来のためにも有益だとの意識を持ってほしいものです。

 このような意味からも、この度の特別顧問就任は、日本の代表的な財団が在日同胞の存在を認め、国家的事業の成功に向けてともに力を合わせていこうと意思表示したものとして歓迎するのです。

 在日同胞は今後、韓国・日本の共催というだけでなく、「三者の共同事業」だとの意気込みでW杯大会の準備に取り組んでいこうではありませんか。

 民団ではまた、この機に朝鮮総連との和合を進めていく立場から、朝鮮学校出身者をボランティアとして大胆に登用することも検討してはどうでしょうか。

(1999.12.08 民団新聞)



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