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在日同胞初のKリーガー誕生

3世の任泰亨君が浦項に入団



在日同胞初のKリーガーとなった
任泰亨選手
(今年10月の韓国国体で)

■スピードと決定力を評価

 在日同胞初のKリーガーがこのほど誕生した。

 この選手は在日3世の任泰亨君(20・埼玉県朝霞市)で、3日、韓国Kリーグのドラフト外選手として、浦項スティラーズと選手契約をした。当面は2軍のサテライト選手として登録される見込みだ。

 これまで、プロ野球などで数多くの在日同胞選手が韓国のチームに入団したことはあったが、「国技」とも言えるサッカーで在日同胞選手がプロ契約を結んだのは初めてで、今後、プロ選手をめざす在日の子どもたちにも大きな希望と夢を与えることになりそうだ。


■朝鮮高校出身の在日3世

 任選手が入団した浦項スティラーズは73年に創立。オリンピック代表でA代表の李東国選手などが所属する人気チーム。88年、92年に韓国プロサッカーリーグなどで優勝したほか、97年と98年のアジアクラブ選手権でも連続優勝した強豪チーム。今年のJリーグで得点王となった黄善洪選手も昨年まで所属していた。


■2年前、帝京との決勝でもエース

 韓国籍の任選手は、埼玉県川口市生まれの在日3世で東京朝鮮高校サッカー部出身。2年前の全国高校サッカー選手権・東京都大会でエースストライカーとして活躍し、帝京高校との決勝戦まで勝ち進み、準優勝に貢献した。

 今年の韓国国体(仁川)にも在日同胞代表選手として出場し、準決勝でファインゴールを決めるなどチームの準優勝に貢献した。


■10月に入団テスト

 10月に入団テストを受けた後、そのままテスト生としてチームに合流し、今回の正式契約となった。

 浦項の崔淳鎬ヘッドコーチは、「(任選手は)スピードもあるし決定力もある。当面は2軍でさらに実力を磨き、いずれは上(1軍)で活躍させたい」と話している。


■プロめざす後輩らに夢と希望

 父親の任達文さん(47)は「祖国の韓国でプロとなったことは大きな誇りだ。後輩たちみんなの夢がかかっており、プレッシャーも大きいと思うが、まずは一軍をめざすことが先決。その時こそ本当に喜びたい」と話している。

 今回の契約に至るまでには、在日大韓蹴球協会(丁海遊会長)の韓国側に対する積極的な架け橋的役割と強い働きかけがあった。

 丁会長は「在日同胞には優秀な選手が数多く埋もれている。今回の朗報によってプロサッカーをめざす在日の後輩たちに新たな夢を与えた。任君に続き今後、さらに第2号、第3号の在日同胞Kリーガーが生まれてほしい」と期待を込めている。

(1999.12.08 民団新聞)



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