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21世紀の祖国統一探る

東京で国際セミナー



300余人が参加した「99統一問題国際セミナー」

■国際協力や包容政策
 韓日専門家が討論

 21世紀の祖国統一を見つめる、「99統一問題国際セミナー」が1、2の両日、東京の民団中央会館大ホールで開催された。元国務総理で民主平和統一諮問会議の李壽成首席副議長が来日したほか、「国際協力方案」と「包容政策と国民的合意」をテーマにした主題発表が行われた後、康仁徳前統一部長官のコーディネートのもと、韓国の教授陣と日本の教授、専門家によるパネルディスカッションが行われ、21世紀の祖国統一に対する展望と課題などが討議された。

 同セミナーは民主平和統一諮問会議(議長・金大中大統領)が主催し、同日本地域協議会(会長・辛容祥民団中央本部団長)が主管したもので、会場には日本地域の平和統一諮問委員のほか、民団幹部や一般同胞あわせて300余人が参加した。

 李壽成首席副議長は開会のあいさつで「ニューミレニアムを迎えようとする重要な時期に、統一に向けた民族大統合の課題を皆さんととともに考えたい」とし、「特に日本地域の諮問委員は歴史上特殊な状況の中でも忍耐を持ちながら、韓国と韓民族を代表するプライドを持って愛国・愛族の心を持ち続けてきたことを良く理解している」とねぎらいながら、「統一には当事者が会って、接触しながら誤解を排除していきながら理解を深めることが大切であり、和解と愛と信頼が不可欠だ」と、統一への道を述べた。また、「必ずや統一を実現させ、韓国が国際的緊張地域から和解と平和の先導者になり世界平和に寄与していくことこそわれわれが進むべき道だ」と強調した。

 金セキ圭駐日大使も「韓国政府は平和共存を土台にした包容政策を一貫して推進した結果、韓半島問題に関する国際的協力の基本政策となったし、少しずつ南北の交流も進み、北韓の態度にも変化が表れてきた」と金大中大統領の包容政策を説明し、「きょうのセミナーを通じて在日同胞の皆さんによる韓半島の統一問題論議が深まることを期待したい」と話した。

 辛容祥団長は「日本において朝鮮総連がいち早く在日同胞の立場に立ち戻り、交流と和合の雰囲気造成へともに参与していこう」と呼びかけながら、今年40年を迎えた朝鮮総連の「北送事業」についてふれ、「北送された約十万人の同胞の生死すら確認できない悲惨な状態を1日も早く解決しなければならない」と強調した。

 セミナーはこの後、武貞秀士・防衛研究所第三研究室長による第一主題「韓半島の平和と統一への国際協力方案」が発表された後、李麻芝・米国ポートランド州立大学教授、任龍淳・成均館大学教授を交えたパネルディスカッションが行われた。

 とくに武貞氏は、94年10月の米朝基本合意以降、両国の接触が順調に推進していることに触れ、ミサイル開発や核疑惑などの問題が残されてはいるものの、国交回復に向けた連絡事務所が早ければ2000年前半には開設される見通しであることを述べた。

 また、APECや北東アジアでの多国間協調や南北韓に米中を加えた四者会談、さらに日本とロシアを加えた六者会談などの必要性を述べた後、多国間の協力は(1)信頼造成(2)予防外交(3)危機管理の順に発展していくべきだと語った。

 休憩をはさんだあと、崔相龍・高麗大学教授が第二主題「対北韓、包容政策と国民的合意」を発表。崔氏は包容政策の(1)北韓のいかなる武力挑発も容認しない(2)北韓を吸収統一しない(3)和解と協力を通じた平和共存の実現―という三大原則を説明。91年の南北基本合意書が南北分断以来、双方が合意した最も包括的なものであることを強調し、包容政策はこの合意書を基本に可能なものから少しでも近づけるための政策であることを述べながら「政府は包容政策の意図、目的、原則、進行状況を国民に詳細に説明し、支持を受ける一貫した姿勢を堅持すべきだ」と語った。

 この後、崔教授と都俊鎬・朝鮮日報論説委員、小此木政夫・慶応大教授の三氏でパネルディスカッションが行われた。

 翌日の第2日目は第三主題「21世紀統1時代準備への課題」について、金龍済・米国パシフィックステート大学総長の報告の後、参加者全員による討論会が行われた。

(1999.12.08 民団新聞)



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