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在日へのメッセージ

大田明彦(産経新聞浦和総局長)



■自治体交流の幕開け

 小生の勤務する埼玉県の土屋義彦知事は、参議院議長時代から独自の「議員外交」を繰り広げ、現在も全国知事会長として「自治体外交」に積極的に取り組んでいることで知られる。

 先日、その知事から連絡があり「こんな手紙が来たよ」と、懐かしい漢字混じりのハングルで書かれた書簡を見せてもらった。ソウル特別市の高建市長から届いた書簡だった。この書簡で、高市長は「尊敬する県知事様 去る11月8日から12日までわたしを含む韓国代表団を日本に招待してくださり、『第1回韓・日市道知事会議』を成功裏に開催すべく、万端の準備をしていただいたことに深く感謝いたします」と丁重にお礼を述べ、土屋知事提唱の日韓知事会議が実現したことで、両国の地方自治体間交流の促進に大きな期待を表明していた。

 この日韓知事会議は一昨年来、2002年のサッカー・ワールドカップ決勝戦の埼玉誘致のために訪韓するたびに、自治体国際化協会会長を兼務する土屋知事から韓国側にもちかけ、開催そのものについては基本合意がなされていた。訪韓に同行したうえ、かつて韓国に勤務し、政治・経済・文化・スポーツなどあらゆる分野の日韓友好親善を願う者として知事会議の発展を心から祈りたい。

 また、高市長は書簡で両自治体がワールドカップを共同開催する立場から、県営サッカースタジアムとソウル特別市のワールドカップ競技場の姉妹提携に全面的に同意することを約束した。このニュースは、決勝戦開催地が横浜に決まったのに加えて、浦和レッズのJ2転落が決まるなど、明るいニュースの少なかった埼玉県の1999年を締めくくり、2000年への希望を感じさせる出来事として受け止められている。

 埼玉県は「大会運営のノウハウについて相互に情報交換し、大会後も交流拠点として、子どもや女性のサッカーなどで未来志向の二国間関係を築きたい」としており、日韓の21世紀への展望が、自治体レベルからも開けてきた。

(1999.12.22 民団新聞)



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