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「参政権」と「生活権」に全力を
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はじめに
新政府で韓日関係の飛躍的な発展に期待

 韓国では今月25日に李明博新大統領が就任します。本団は60万在日同胞とともに李明博新政権の誕生を心から歓迎します。国民から圧倒的な支持を受けた新大統領には、低迷する経済の発展と北核問題の完全な解決に全力を尽くして下さることを全国民が期待しています。あわせて、在日同胞に対しては未来志向的な温かい配慮を願うものであります。

建国60周年を全同胞で祝賀

 今年、韓国は建国60周年を迎えます。建国直後の48年9月、政府から在日社会で唯一の公認団体として認定された本団は、韓国が困難なときほど一心同体となり多くの困難を乗り越えてきました。世界の最貧国から出発した韓国は、6・25動乱という未曽有の苦難を経ながらも、今や世界で10指に数えられるほどの経済力を達成し、同時に民主主義体制も整えてきました。

 本国政府と表裏一体となって韓国の近代化に積極的に参与してきた在日同胞は、輝かしい発展を遂げた韓国に対し大きな誇りを感じています。建国60周年を迎える今年、在日同胞社会の指導団体の地位にある本団は光復節を全同胞的に祝い、韓国との絆をより強固にし、さらなる祖国の発展を期して今後もともに歩んでいく決意を新たにするものです。

 4月9日に韓国では国会議員選挙が行われます。大統領選挙の結果を踏まえ、国民がどのような選択をするのか、与野党の勢力図がどのように変化するのか、在日同胞として強い関心を持たざるを得ません。

北核の完全な廃棄を急げ!

 新大統領は低迷する国内経済の立て直しを最優先課題としつつ、対北政策についてはその基本を「核廃棄と経済支援」に置いています。北韓に対する支援においては北との間で多少の軋轢が生じる恐れがありながらも、経済性や相互主義などの観点から全般的な見直しを行うことが予想されております。

 北核問題は昨年2月に行われた6者協議での合意により無能力化に向け大きな前進がありましたが、「無能力化と核計画の申告」作業が予定通り進展しないなど、完全解決までには今後も紆余曲折が予想されます。

 韓日関係においては、安倍前総理が就任直後(06年)に訪韓したのみで、首脳外交が一時的に停滞していました。李明博新大統領は、日本との関係を未来志向的に発展させていく旨を表明し、日本に対し頻繁な首脳外交の復活を呼びかけ、日本側もこれに応じる姿勢を見せています。この間、靖国神社参拝問題や独島問題、歴史認識問題などにより停滞気味であった韓日関係は今後、飛躍的な進展を見せることは間違いないでしょう。

 日本社会はようやく長期の経済不況から立ち直る兆しが出てきた矢先に、米国のサブプライム問題の影響を受け、経済は先行き不安定な状況を見せています。政治的には、今年中に行われるであろう衆議院議員選挙の結果、与野党勢力の変化や政界再編の動きなどが注目されます。

 同胞経済においては、規制強化による遊技業界の不振、景気回復の遅れによる飲食店の不振、公共事業の削減による土木建設業界の不振など、全般的に苦境に喘いでいます。本国政府には民族金融機關への支援をはじめ、同胞経済全般に対する幅広い関心を持っていただくことを望むものです。

 朝鮮総連は、北韓による日本人拉致問題や核・ミサイル問題に加え、学校事業の極端な不振、これまで組織を支えてきた商工人の大量離脱、中央本部をはじめとした各地会館の売却・競売問題、会館に対する課税強化など、組織内外からの厳しい条件の下、弱体化の一途をたどっています。

 同胞社会は、総連組織からの離脱者が引き続き増加する一方で、帰化者(日本国籍取得者)の漸増、新規定住者の増加という構造的な変動が継続することが予想されます。

 本団においても同胞の組織離れと組織力の弱体化が叫ばれる中、本団は帰化同胞はもちろん新規定住者を含めたすべての同胞を網羅し、同胞の期待と信頼に今まで以上に応えるべく、昨年に引き続き同胞を対象とした地に足をつけた地道な活動を展開していきます。

 以上の内外状況のもと、地方参政権獲得運動など3大運動と、同胞生活支援事業など5大事業を中心に2008年度の方針を以下の通り提示します。

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3大運動/地方参政権獲得
年内実現へ力量傾注

 1994年以後、民団の最重要課題のひとつとして運動を推進してきましたが、日本国会の衆参での与野党逆転現象や今年中には行われるであろう衆議院議員選挙、新大統領の訪日などを視野に入れ、今年を地方参政権の獲得に向けた正念場と位置付け、最大限の組織力量を傾注していきます。

 日本の各政党や国会への働きかけと合わせ、地方本部単位では地元選出国会議員への陳情、地域でのシンポジウム開催を通じた日本社会での理解の促進に努め、世論対策として報道機関への働きかけをより一層強化し、日本の市民や諸団体とも連携を取りながら、地方参政権法案の採択に向け最善を尽くしていきます。

3大運動/組織強化
戸別訪問をより徹底

 組織活動の原点は戸別訪問にあります。同胞との対話を通じて本団への意見や要望を汲み上げ、同時に本団の重点運動・事業に対する積極的な参与を勧め、併せて団勢の把握に努めることを目的に、昨年に続き同胞世帯に対する戸別訪問活動を展開していきます。

 組織財政の自立に向け、昨年は収益事業の推進に向けた土台作りを行ってきましたが、今年は具体的な事業を本格的に進めていきます。中央本部での単独事業だけでなく地方本部、支部を対象にした事業も大胆に開発、実践していき、組織強化につなげていきます。

 効率的な組織運営のため中央本部内に專門委員会として「組織整備委員会(仮)」を設置し、財政を含めた組織整備と機構改革を総合的に研究、提言していくこととあわせて、IT事業を効率的に推進し、組織強化と経費節減に努めていきます。

ソウルで支団長交流会を開催へ

 全組織の意思統一を図り、行動統一を確固とするため内外情勢、統一問題、同胞社会の将来への展望などを内容とする研修活動を推進していきます。

 あわせて組織力の強化と財政自立に向けた動きを全国の支部まで貫徹し、各支部がそれぞれの直面する課題を持ち寄り情報を交換する場とすべく、前半期に支団長交流会をソウルで開催します。

3大運動/韓半島の非核化と平和定着
在日への悪影響除去

 北韓の核開発は東北アジアの平和と安定に脅威を与えているばかりでなく、海外同胞を含めた7000万民族の存亡にかかわる重大な問題であるとの認識の下、われわれ在日同胞は、韓半島の非核化と平和定着に強い関心を持ち、北韓の核開発を決して容認しないとの断固たる姿勢を内外に示していかなければなりません。

 核問題はまた、ミサイル発射や日本人拉致問題とあいまって日本社会の対北韓観を極度に悪化させています。

 このことが総連同胞ばかりでなく、在日同胞全体の経済活動に大きな影響を与えていることも今や周知のこととなっています。

 総連同胞や日本人にも、幅広く核廃棄の必要性を訴えるため、全国的に講演会を開催すると同時に、一般市民へのアピール活動なども視野に入れた、広範な活動を提起していく必要があります。

 在日同胞としては、韓半島のみならず、東北アジアの平和と安定のため、北核の完全廃棄を願い、6者協議の進展を見守りつつ、今後も粘り強く各方面に向けてアピールを続けていくものです。

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5大事業/生活支援
相談センターを拡充

 同胞生活に密着した切実な問題(税務、法律、相続、戸籍整理など)に的確に対応することを目的に昨年から実施している「みんだん生活相談センター」事業を完全に定着させ、今年は相談体制をより一層拡充させていくため專門家のネットワークをさらに全国的に拡大していきます。広報活動の充実化とあわせ、大手支部にもセンターを設置するなど事業の拡大を図っていきます。

 日本政府に対し国民年金法の改正を継続して要望していくと同時に、地方自治体に対しては高齢者と障害者に対する特別給付金を求める活動を引き続き進めていきます。民団会館を老人のための活動に大胆に開放し、会館の福祉拠点化を目指していきます。

 今年1月の韓日アジア局長会議でも触れられた日本の再入国許可制度から永住韓国人の適用免除を求める運動を、今年はより積極的に推し進めていきます。同制度に対しては大部分の同胞が不便を感じ、適用免除を求めています。日本政府や各政党への働きかけを強化し、今年度中に解決に向けた方向性を出していくよう努力していきます。

 昨年11月に施行された日本の新入国審査制度(指紋採取、顔写真の撮影など)に対し、適用除外の対象を特別永住者に準じて一般永住者や定住者(再入国許可者)まで幅広く認めるよう日本政府に求めていきます。

5大事業/同胞経済支援
総合対策で難局打開

 日本経済は一部好転の兆しを見せているものの、中央と地方、持てるものと持たざるもの、大企業と中小企業などの格差が拡大する中、零細企業が多数を占める同胞経済は呻吟の色を一層濃くしています。

 同胞経済を代表する遊技業、飲食業、土木建設業界は当局からの規制強化や景気の未回復、日本政府・自治体の財政悪化などにより塗炭の苦しみに喘いでいます。同胞経済の資金供給源である民族金融機関は、経営の健全化に向け再編を繰り返しながら懸命に努力を重ねているところです。

 民団は同胞経済の全体的な底上げを図るため、例えば民族金融機関と飲食業界が連携を取りながらともに活性化するような、実現可能な総合的対策を講究していきます。遊技業界に対しては、難局打開に向けて設立された「レジャー産業健全化推進協会」を積極的に支援し、業界の健全化と社会的地位の向上に向けて対処していきます。

5大事業/次世代育成
祖国でオリニの祭典

 将来の同胞社会の発展と本団組織の活性化に向け、次世代の育成は欠かせない事業です。今年は主にオリニ世代を対象に民族意識を涵養し民族主体性を維持していくための事業を展開していきます。

 夏に「オリニジャンボリー」をソウルで開催する一方、土曜学校、クリスマス交流会などをより多くの地方本部、支部に拡大し、オリニ同士が触れ合える機会を増やしていきます。

 春季、夏季に行われる大学生、中・高校生を対象とした本国招請事業も積極的に活用し、学生会組織の活性化にもつなげていきます。

 毎年実施している本国の体典(国体)への選手団派遣は、次世代育成の観点から全組織が参与し積極的に支援します。

5大事業/文化振興
文化賞の充実化図る

 昨年初めて実施した「MINDAN文化賞」は、予想以上の反響を呼び大きな成果を挙げました。

 在日同胞自身による独自文化の振興を図るため、質量ともに充実化を図りつつ今年も引き続きこの事業を実施していきます。

 「在日韓人歴史資料館」は昨年、展示物、資料を一層充実させました。開館から3周年を迎える今年は、同胞が多く居住する地域での移動展示会を開催し、地域同胞と日本人への関心を高めます。併せて法人化の実現に向け努力していき、在日同胞の歴史を照明する唯一の場として展示・資料面をより充実させ、広範な見学者を迎えられるようにしていきます。

5大事業/韓日観光交流年
10月を祖国訪問月間

 今年が韓日観光交流年であることを踏まえ、本団は10月1日の「国軍の日」行事と同5日の「世界韓人の日」を前後して「韓国訪問月間」を設定し在日同胞の母国訪問事業を積極的に展開しています。

 本国からの訪日旅行者は年々増加しており、韓日観光交流の年である今年は300万人近くに達するものと推定されるなか、旅行者の事故・病気等も多発しているのが実情です。

 このような実情に鑑み、本団は今年、訪日旅行者の事故・病気等に対応するため地方本部に「韓国人旅行者支援センター(仮)」を設置していきます。

 本国からの旅行者への対応は本来は公館が行うべきことですが、拠点も少なく十分な対応ができていないのが実情で、一方で従来から民団が公館と協力しながら取り組んできた実績があります。

 各地公館との連携の下、この事業を制度化し旅行者を積極的に支援していくことで、真の意味で本団が韓日間の架橋的役割を果たそうとするものです。

 韓日観光交流年を機に両国間の友好増進と、架け橋的存在としての本団の立場を積極的にアピールしていきます。

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終わりに

 韓国が建国60周年を迎える今年、われわれは8・15光復節を契機に、幾多の苦難に打ち克ってきた韓国の誇りうる歴史を噛みしめつつ、「先進化」の未来に向かって栄えある歴史の創造に参与しましょう。

 われわれは祖国韓国との絆を改めて確認しつつ、同時に今年こそは、地方参政権を獲得し、日本での「共生時代への幕開け」を確かなものにするより努力しなければなりません。

 全ての幹部が与えられた責務を再認識し、新たな決意を持って今年1年間の活動に臨んでいくことを期待します。


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