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第67回定期中央委員会採決「2013年度基調」(要旨)

第1線の活力発掘を最重点に

◆展望

求心体の意思強め…国民大統合の一翼担おう

 米国、EU(欧州連合)諸国、日本など先進国が国力にかげりを見せる一方、中国、インドなど新興国が経済規模を急速に拡大させ、軍事力を著しく増強させてきた。平和と安定のための確たるシステムが脆弱なまま、世界は刻々とその勢力図を変貌させている。

 しかも、北韓やイランの核兵器開発、組織的な国際テロ、宗教や民族対立、資源争奪、貧困と飢餓、民主化運動とその反動など、大国を巻き込む紛争激化の火種は増えこそすれ減るすう勢にはない。東アジアもその例外ではなくなった。

 この間、経済協力規模を着実に拡大させて世界の成長センターとなったこの地域で昨年、島嶼領有をめぐる韓国と日本、日本と中国の対立が激化した。韓日間は新政権が誕生する過程で沈静化の動きが見えるものの、日中間の葛藤収束はなお不透明だ。

 険悪な日中関係は韓国の対日、対中政策に支障となりかねない。加えて、昨年の2回にわたる弾道ミサイルの発射によって国連安全保障理事会からより厳しい制裁決議を受け、3度目の核実験を強行したことでいっそうの窮地を自ら招いた北韓のリスク管理をも複雑にする。

 2期目のオバマ大統領がアジアへの果敢な関与を明言する米国と、タカ派色を前面に出して登場した安倍政権の日本に対し、中国は新たに最高指導者となった習近平総書記のもとでも対決姿勢を明確にしている。必然的に北韓の戦略的価値が増すことになり、中国が北韓庇護の姿勢を強める可能性も排除できない。

 東アジアの緊張激化は、北韓の軍事挑発を封鎖しつつ世界交易の拡大を目指す韓国にとってまさに外患である。韓国は一方で、貧富の格差拡大、世代間の価値観対立などを底流とする理念葛藤によって、深刻な内憂を抱えている。

 朴槿恵第18代大統領の新政府は、かつてない内憂外患のなかで出帆する。

 格差を是正しつつ国民の7割を中間層に押し上げることで、国民大統合を成し遂げ、外患に対処しようとする新政府の前途は多難と言えよう。新大統領の指導のもと英知を集めてこの難関を乗り越えていくことを期待する。

 朴次期大統領は民団新年会に寄せたメッセージで、今年が「大韓民国建国65周年であり、民団が韓国政府より在日同胞を代表する団体として認められて65周年になる」ことに触れ、民団が「在日同胞社会の求心点としての役割を果たしながら、母国の発展にも大きく寄与」したと評価した。

 今年、半数近い23地方本部が結成65周年を迎える。これは、大韓民国建国によって本団の組織拡大に拍車がかかったことの証でもある。それはまた、祖国への貢献を可能にする組織力量の拡充の起点でもあった。本団と祖国は常に一心同体だった。この不変の歴史と祖国の危急な課題を座視したことのない本団の特性を再確認し、国民大統合の一翼を担う決意を固めたい。

 3年後の2016年に本団は創団70周年を迎える。解放後生まれの2世が高齢化することで本格的な世代交代が足早に進んでいく。新たな民団の姿を模索しながらも、祖国と居住国それぞれの発展に貢献し、なおかつ、両国の善隣友好を担う本団の伝統は必ず継承されよう。

 朝鮮総連が北韓への盲従姿勢をとり続けることで同胞社会から背を向けられるなか、在日同胞の求心体であり続けられるのは本団以外にない。次世代育成と幹部の資質向上を通じて組織強化に不断の努力を継続することが現責任世代の務めであることを肝に銘じ、この1年の課業に取り組みたい。

◆重点方針

支部巡回さらに拡大…年代別事業 積極推進へ

■民団再生運動

 自立的な財政状況というにはほど遠く、組織を受け継ぐべき後継者の不足に苦しみ、同胞社会の次代を担う世代も数少ないという3重苦に苦しんでいる地方本部、支部が少なくない。

 組織の原点は人が集まるところにある。われわれは今年、支部や地方本部で同胞の集まる場を積極的につくっていく。昨年から行っている支部巡回活動を継続するとともに、緊急の課題となっている今後の組織を担う後継者(特に40代〜50代世代)の養成と、同胞社会の将来を担っていく次世代の育成をも視野に入れる必要がある。

 組織の機能と機構を大胆に再編していくことで人的・財政的な運用の効率化も考えなくてはならない。

 これらの課題の解決に向けた具体的な方策を今後2年をかけ実践していく。

《本部・支部の活性化》

 支部においては同胞同士の絆を確かめ合うため気兼ねなく集える場を積極的に増やすべきであり、中央本部としてもそのような活動を支援する意味で「奨励金」を準備する方針だ。

 一方で、団員数が少ないなど財政的・人材的に困難に陥っているいくつかの地方本部に対しては、中央本部が構成する「再建チーム」を直接派遣し、親睦の場などを活用しながら再建を図っていく。

《組織基盤強化》

 (1)組織機構・機能の整備

 同胞の組織離れを直視し、大胆な機構再編によるコンパクトな組織形態を目指すべきであり、それによって効率的な組織運営と併せて効率的な財政運営も実現していく。

 現在、日本の行政区域(都道府県)にもとづいて48個地方本部を構成しているが、これを再生が困難な地方本部を中心に大胆に統合(公館管轄別の組織再編も含む)し、実情に合わせて運営の効率化を図っていく。

 本団は2009年2月、規約を改正し6部署を4部署に機構改編したが、中央本部と地方本部の組織体系をいっそうスリム化(部署の統合・再編など)することにより、限られた人員(常勤者及び活動者)と財政の効率的な運用を定着化させる。

 (2)支部巡回活動と支団長ワークショップ

 昨年70支部で実施した支部巡回活動を今年度も継続し、組織活性化を目指して主要事業の推進をメインテーマとして展開していく。

 組織基盤強化の一環として地区別に支団長ワークショップ(交流会)を実施し、主要事業の認識統一を図ると同時に、組織間の連帯を強めつつ組織運営に関する情報交換を行う。併せて地方本部、支部の常勤者を対象とした研修会による実務能力の向上と、組織学院地方教室を数カ所実施することで地方の中堅幹部の育成を図る。

 (3)団員連絡網の整備

 過去に行った団員宅の戸別訪問などによって得られた団員とその家族等の名簿を整理し、民団情報の発信のみならず緊急時(災害時など)の連絡網として活用を図っていくことも視野に入れ、Eメールの一括送信体制の構築を図る。

《同胞生活支援事業》

 「生活相談センター」を全国の主要地方本部にまで拡大設置し、在日同胞の法的・専門的相談に応じる態勢づくりを進める。

 また、同胞同士の結婚問題が深刻さを増していることに鑑み、同胞同士が結婚できるよう出会いの場をつくるなどブライダル事業を振興し、就業問題についても斡旋事業を模索していく。

《財政自立への取り組み》

 ますます厳しくなる財政事情に鑑み、不要不急な事業の大胆な見直しや収益事業の継続的な模索が求められる。

 中央本部内に財政問題対策室(仮称)を設置し、商工人の協力を得ながら収益事業を模索していく。

《在日同胞社会の統合》

 すでに多くの地方本部や支部において総連組織を離脱した同胞や新規定住者が支団長などの重責を担っている。各地の韓人会組織を含めた新規定住者や総連離脱者、及び駐日韓国企業とも連携を深め、共通の課題に対処しながら在日同胞社会の大統合を目指す。

■次世代育成運動

 在日社会の今後を担っていく若い世代を育成していくためにオリニや中学生、高校生などを対象とする年代別事業を積極推進していく。

 2013年度は全国すべての支部が特にオリニを対象とした事業(土曜学校、臨海林間学校、夏季学校、クリスマス交流会など)を必ず支部単位で実施するよう促す。同時に、それらの事業を通じて親世代の若手同胞を民団周辺に引きつけ、支部、地方本部の活性化につなげていこう。

 オリニ世代が少ない過疎支部は、地方本部単位で実施することを検討する。中学生以上の世代を対象とした年代別の母国訪問事業を引き続き実施し、民族意識を芽生えさせる契機としていく。

 青年会は3年前から地方本部の再建に取り組み7地方本部の再建を果たした。同胞社会の次の世代を担っていくべき青年らの集まりを、全国の地方本部と支部が今後も積極的に支援していく必要がある。

■韓日友好促進運動

 民団が在日社会で唯一の政府公認団体となってから今年で65周年、2年後には韓日国交正常化50周年、3年後には創団70周年を迎える。民団は昨年の定期中央大会において綱領を改定し、「我々は日本地域社会の発展を期する」との項目を新設した。

 在日同胞が日本社会を構成する一員として地域社会の発展に寄与していくためにも、韓日間の安定的な友好関係が切実に求められる。民団は地方本部、支部を通じ地域住民との人脈を活用し、韓日関係において懸け橋的な役割を積極的に果たしていく。

 一方で、各地の在日道民会や日韓親善協会とも連携を取りつつ、在日同胞と日本人とがともに韓国を訪問する事業なども検討していく。

《地方参政権獲得推進》

 保守化傾向が一段と強まることが予想される日本社会の中にあって、われわれはこれまで蓄積してきた成果を土台に新たな覚悟で地方参政権の獲得運動に向かい合わねばならない。大阪・岸和田市議会が全国で初めて地方参政権付与を求める決議をして今年は実に20年目となる。その間、永住外国人の構成も相当に変化してきていることも念頭に置きつつ、獲得運動の原点に立ち戻り粘り強く推進していく。


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