人間に宿っている「魂魄」は、その人が死ぬと「魂」は天に昇り「魄」は地に戻るという。臨終間際に家族達は服を着替え、厳粛な気持ちで病人の枕もとに座り、息を引き取るのを待つ。最後の息が止まると用意した真綿を死者の鼻と耳に詰めて、頭を高めに仰向けに寝かせて、白い布を顔からすっぽりと全身にかぶせる。そして屍を入棺する前に、霊魂を呼び戻す儀式をやるのである。
一旦死んだ人に霊魂が戻る訳は無いのだが、この儀式で死を確認し、最後に屍を棺桶に納めるのである。この儀式を皐復または招魂という。
死者が男の場合は、女が深夜中に小高い丘の上から屋根に昇り、左手に持った死者の着物を暗い空に向かって打ち振りながら「金なにがし復復復」(ボク・ボク・ボク)と唱えると姿は、鬼気が迫ると共に物悲しくも聞こえる。
画・文
木丁・金龍煥
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