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掲載日 : [21-09-29]   照会数 : 227

この部屋、事故物件?…自然死などは告知義務なし

Q

 親から相続した賃貸マンションを経営しています。最近、マンションの一室に一人で入居している高齢者の借主が、寝たきりのまま病気で亡くなってしまいました。死後すぐに発見されたため、通常のクリーニング業者を利用して清掃を行うことで再び賃貸できる状態にはなったのですが、今後、この部屋は事故物件として説明しなければならないのでしょうか。
 

A

 最近、「事故物件」という言葉をよく聞きます。

 マンションを賃貸するとき、オーナーは契約を締結するか否かの判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事情を入居希望者にあらかじめ伝える義務(告知義務)を負っています。

 マンションで過去に死亡した人がいるという情報は物件を探している人にとっては借りることを敬遠してもおかしくはない情報ですので、告知義務は気になります。

 ただ、入居者の死因は様々であり、事件発生から、かなり期間が経過するにつれ、次の入居者への心理的影響は徐々に小さくなっていくと考えられるため、「どのような事案を」「どこまで」「いつまで」伝える必要があるのか、その判断基準に頭を悩ませているオーナーも多いと思われます。

◆近く公式ガイドライン
 これについて、現在、国土交通省が「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」(以下「ガイドライン」)というものを作成中で、年内には正式版が公表される見込みです。そこで、今回は現時点で公表されているガイドラインが示す告知義務の判断の目安について説明したいと思います。

◆告知すべき事案
 どのような事案を告知する必要があるかについて、ガイドラインは「過去に他殺、自死、事故死又は原因が明らかでない死亡が生じた場合」には、原則として、告知しなければならないとしています。

 他方、「自然死又は日常生活の中での不慮の死(階段からの転落や、入浴中の転倒事故、食事中の誤嚥など)が発生した場合」は、このような死が発生することは当然に予想されるとして、原則として告知する必要はないとしています。

 ただし、自然死であっても、長期間にわたって人知れず放置され、室内外に臭気・害虫等が発生し、いわゆる特殊清掃等が行われた場合には、告知義務があるとしているため、注意が必要です。

◆告知すべき内容・範囲
 告知すべき事案に該当したとして、どの程度の説明を行うべきかについてガイドラインは、「事案の発生時期・場所・死因(不明な場合はその旨)」としています。また、いつまで事案の存在を告知すべきかという点については、ガイドラインは「特段の事情がない限り事案の発生から概ね3年間」は告知義務を負うとしています。

◆まとめ
 以上、ガイドラインに沿って考えると、ご相談の事案については、次の入居希望者に説明する義務はないと判断されるでしょう。

 もし、所有するマンションで告知するべき事案が発生してしまった場合は、仲介業者がいればその旨伝え、書面に残す形で入居希望者に説明してください。

 また、今後、正式に公表されるガイドラインの内容によっては、判断基準が変更されている可能性もありますので、事前に弁護士に確認されることをお勧めいたします。
弁護士 李 将
 

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