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<在日3世アスリート>フィギュア 金彩華選手 2008/02/01
 
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バンクーバー五輪出場目指す
フィギュア 金彩華

 銀盤の上をカラフルなコスチュームで華麗に舞い、冬季スポーツの華と呼ばれるフィギュアスケート。特に、韓国の金妍兒選手、日本では浅田真央選手など、世界の舞台で10代のヒロインたちが活躍する姿は、韓日両国で空前のフィギュアブームを沸き起こしている。そうしたなか現在、世界ナンバーワンである金妍兒選手に次ぐ韓国代表として昨年末のグランプリシリーズNHK杯でも9位の好成績を残したのが在日3世の金彩華さん(19)だ。

 スケートとの出会いは小学校2年生の時。自己主張をあまりせず、おとなしかった彩華さんが「上手にスケートが滑れたらかっこいいだろうなぁ」と憧れ、珍しく両親にスケートを習いたいと頼み込んだのがきっかけだった。

 スケート教室に通いだすと持ち前のねばり強い性格でメキメキと上達し、中学時代には全日本ジュニア選手権に出場するまでに成長。また、所属クラブで全日本コーチでもある濱田美栄先生より指導を受けると、彩華さんの才能は一気に開花していった。

 そして競技人生の転機となったのは高校1年生の冬、在日本大韓体育会の支援により韓国の冬季国体に初出場すると、在日選手として初めて金メダルを獲得。続いて行われた世界大会の選考会も制すると、日本生まれで日本に居住する在日韓国人選手が、フィギュアスケート韓国代表に選ばれる史上初の快挙を成し遂げた。

 「初めて祖国で競技をした時は、言葉も分からず緊張しました。だけど演技を終えた後、大きな声援と会場から花束やチョコレートが投げ込まれ感動しました」。

 その後は金妍兒選手とともに韓国代表として各種国際大会に出場。06年の世界ジュニア選手権では7位入賞を果たし、金妍兒選手が欠場した昨年の韓国フィギュアスケート選手権では見事に優勝を飾った。

 こうした活躍が認められ、彩華さんは在日本大韓体育会の働きかけで、韓国氷上競技連盟より正式に選手登録が認められ、また、本国の大韓体育会から体育奨学金の支給も受けられるようになった。

 これは在日選手が日本のクラブに所属したまま本国で選手登録され、奨学金を支給される初めてのケースとなった。

 彩華さんは昨年、トリノ五輪日本代表、世界選手権2位の高橋大輔選手らが所属するフィギュアの名門・関西大学に進学。現在はさらなるレベルアップを目指し、厳しいトレーニングに励んでいる。

 「昨年のNHK杯では韓国代表として、世界のトップ選手と一緒に試合をすることができ、いい意味で刺激を受けました。得意のスピンでは世界レベルの得点を取れるようになったが、これからの課題は苦手のジャンプ。特にルッツとフリップの精度を上げていきたい。そして、今はまだ足元にも及ばないが、一歩一歩着実に進化し、金妍兒選手に少しでも近づけるよう頑張りたい」。

 韓国代表としての抱負を聞いてみた。彩華さんは、「韓国の大会に出場し、また韓国代表として国際大会に出場することによって、自分は韓国人なのだと実感しました。スケートは私に祖国に触れる良いきっかけを与えてくれた。そのチャンスを活かして、韓国語が話せるようになりたい。スケート人生が終わっても韓国と繋がっていたい。そして最終目標は、2010年のバンクーバー五輪に出場すること。世界最高峰のリンクで、韓国代表として氷上を舞うことができれば最高です」と話すなど静かな闘志を燃やしている。
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