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永住韓国人への地方参政権

「一日も早い法案成立を」
各政党も実現へ積極姿勢



民団では5月11日、全国の地方団長と傘下団体長が
一斉に関連部署を陳情した
(写真は自治省に野田自治相を陳情する代表団)

■□政  府□■

野中官房長官が前向き姿勢
 「いつまでも放置できぬ」

■総理

 李愚京・京都団長を代表に辛容祥中央団長をはじめ東京団長、韓商会長、婦人会長、青年会長らは、午後五時過ぎに、首相官邸を訪問し野中広務官房長官と面談、小渕恵三首相宛ての要望決議文を伝達した。

 席上、民団側は金大中大統領と小渕恵三首相の二度にわたる首脳会談でも永住韓国人への地方参政権付与問題が強調されたことを踏まえ、早期立法化を強く要請した。

 これに対し野中官房長官は「趣旨は誰よりも理解している。両国首脳会談での経緯もあり、いつまでも放置できない問題であり現在、実現に向けて真剣に取り組んでいる」と答えた。長官はまた、「政府とともに党の方にも積極的に呼びかけてほしい」と加えた。

 民団側は、「実現には官房長官の力がぜひ必要」と協力を求めた。


議員立法で実現めざす

■自治相

 自治相への陳情は、東京本部の夫昇培団長を代表に熊本、奈良、山形の団長のほか、青年会の幹部が出向いたほか、中央本部の辛容祥団長らが同席した。

 陳情に先立ちまず辛団長が、委員会の途中という超多忙な日程を調整して民団の代表陳情団と参議院内で面談に応じた野田毅自治大臣に対して、謝意を表し、続いて夫団長が決議文を伝達した。

 これに対して、野田大臣は「皆さんの強い要望は、よく理解している。金大中大統領も首脳会談をはじめ、再三言及された事柄でもあるし、誠心誠意取り組みたい」と述べながら、「議員立法での実現もある」との方向性と可能性を示唆した。


■□国 会□■

決議文に理解示す

■衆議院議長

 衆議院へは宮城県本部の朴鍾煥団長を代表に福島、埼玉、徳島の各団長や幹部のほか、婦人会、青年会で陳情団を構成した。中央本部からは金容雨副団長、河政男組織局長が同席した。

 河組織局長の決議文の朗読に、伊藤宗一郎衆議院議長は「承知している」と要所要所でうなづき、大いに理解を示した。「辛容祥団長にもよろしく」と伝言をことづけた伊藤議長に対して、地元宮城の朴団長は「立法化に向けて努力していただけるとの感触を得た」と満足そうに話した。


審議段階で前向き対応へ

■参議院議長

 参議院へは神奈川県本部の金洪斤団長を代表に千葉、三重、大分の団長や商工会議所と中央本部からは厳学燮副団長らが同席。斎藤十朗参議院議長は「皆さんの要望は理解できる。参議院でも審議段階になれば前向きに考える」と話しながらも、一部の反対意見とのバランス問題に触れた。

 これに対して、金団長は「申告制による選挙権なので、希望しない者について心配するには及ばない」と答え、斎藤議長は「決議文の内容をよく検討する」と述べた。


■□議員連盟□■

悲願実現へ役割重要

■日韓議連

 昨年9月、ソウルで開かれた韓日・日韓議連合同総会での「地方参政権の法制化」決議を大きな契機に参政権運動への「追い風」が始まった。日韓議連の瓦力幹事長(元建設大臣)は、「六十五万の在日韓国人の皆さんの悲願であると理解し、竹下登会長に伝達する」と約束した。

 陳情団は島根県本部の朴煕澤団長を代表に、岐阜、高知、対馬島の各団長と瓦幹事長と親しい石川県本部の姜錫采前団長や軍人会長らで構成された。今年秋の幹事会で大きな議題になる地方参政権の展開について、朴団長は「議連の動き、役割が今後ますます重要」と述べた。


■□政 党□■

早急なまとめ首相も指示

■自民党

 自民党の森喜朗幹事長に決議文を伝達したのは、大阪府本部の洪性仁団長を代表に石川、秋田、新潟の団長や体育会、青年会の幹部たち。中央本部からは金宰淑副団長らが同席した。

 相互主義と朝鮮総連の反対に言及した森幹事長に対して、金副団長は在日韓国人のような歴史性、定着性を持った定住日本人は韓国にはいないと前置きしつつも、金大中大統領が法務部長官に研究を指示し、すでに作業に着手していると報告。洪団長も「北に身内がいる一部の幹部層を除けば、総連系の同胞もほとんど参政権に賛成している」と話した。

 森幹事長は「日韓首脳会談で再三議題にされているし、小渕首相からも早急にまとめるように指示されている」と明らかにし、政治決断の時期であることを示唆した。


国会議員ら17人が対応

■自由党

 自由党への陳情団は、広島県本部の朴義鍾団長を代表に、山口、栃木、和歌山、岩手、宮崎の団長のほか青年会の幹部らが同席した。自由党からは中井洽政治改革本部長や藤井裕久幹事長ら17人が応対。小沢一郎党首の訪韓を快く迎えた韓国側の対応に謝意を表する一方、ミサイル発射実験をはじめとした北韓の動向と朝鮮総連の反対に懸念が広がっている。

 これに対して朴団長は「反対意見はごく少数の幹部層。一般同胞は自由世界のすばらしさを知っている」と答え、永住権申請時も表向き反対はしたが、多くの人は申請したと述べた。

 その後、自治省への陳情団も加わり、辛容祥団長は「われわれは自由民主主義を支持する。そのために総連と闘ってきた。心配はご無用。早急に立法化を」と強く要望した。


運動は9合目、与党の決断を

■民主党

 民主党への陳情団は、福岡県本部の宣虎采団長を代表に、長野、富山、香川、北海道の団長と青年会幹部、中央本部からは呂健二副団長らが同席した。民主党からは中野寛成政調会長をはじめ、衆議院議員4人、参議院議員3人の8人が応対した。中野政調会長は現段階を運動の九合目と受けとめていることを明かし、「与党の決断が必要」と述べた。

 民主党は国会情勢などを考慮し、まずは投票権に段階設定し、公明党と共同で法案を提出したが、被選挙権を含む法案を提出した共産党も民主、公明党案に賛成の意向を示していると明らかにした。


年内実現へ全力を約束

■公明党

 公明党への陳情団は兵庫県本部の李且守団長を代表に岡山、ジ賀、静岡、佐賀の各団長と権炳佑中央副団長ら8人で構成。衆議院内の公明党役員室を訪れ、浜四津敏子代表代行、冬柴鐵三幹事長、草川昭三国会対策委員長ら六氏と面談し、決議文を提出した。

 同党はすでに立法化への法案を提出していることもあり、民団側は謝意を伝えるとともに、実現へさらなる協力を求めた。公明党側は「必ず実現するよう党としても全力を尽くしていく」と約束した。


超党派での立法化めざす

■社民党

 社民党本部へは愛知県本部の権泰洙団長を代表に、長崎、沖縄、青森、群馬の団長と青年会幹部、中央本部からは李英秀民族教育委員長らが陳情に訪れた。

 社民党の伊藤茂筆頭副党首は、「わが党はいつも皆さんの運動に対して強く支持している。是非地方参政権獲得が実現できるように努力したい」と述べ、与野党を含む超党派での立法化推進を進めなければならないと語った。


他党と歩調合わせて推進

■共産党

 党独自に被選挙権を含む参政権法案を提出している日本共産党には、山梨県本部の朴善国団長を代表に、茨城、愛媛の団長と科学技術者協会、学生会の幹部のほか、中央本部から申永煥平和統一推進委員長が出向き、陳情書を伝達した。

 共産党からは不破哲三委員長をはじめ、殻田恵二国会対策委員長、西口光国際部長らが応対した。不破委員長は「被選挙権まで含めて実現させたい」と強調しながらも「他の野党とも協力し合い、できるところから着々と進めたい」と共同歩調の姿勢を示した。

 さらに民団が進めてきた地方議会の意見書採択についても、「千四百近い数字というのは、あまり例がない」とこの間の地道な運動を評価した。朴団長は「原則の党というイメージが強かったが、その一方で柔軟性を強く感じた」と感想を述べた。

(1999.05.12 民団新聞)



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