生活相談Q&A

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生活相談Q&A 内容

掲載日 : [23-02-01]   照会数 : 517

会社名義の部屋に住んでいた社員が家賃を滞納したままいなくなった。支払い義務は?


Q:会社名義の部屋に住んでいた社員が家賃を滞納したままいなくなった。
   支払い義務は?


 会社の名義で契約をした部屋にある社員を住まわせていました。その後、建物の家主が代わったのですが、部屋に住まわせていた社員は会社の印鑑を利用して勝手に部屋の更新契約を交わし、引き続き部屋に住んでいました。しかしある日突然、その社員が家賃を滞納したままいなくなってしまいました。このような場合、家賃の支払い義務は誰に属することになるのでしょうか。
 



A:建物の賃貸借契約において、賃借人は賃貸人に対して賃料の支払義務を負います。ご相談の事案では、家主(建物所有者)と賃貸借契約を交わしたのは、会社ですから、少なくとも更新契約前までは、会社が家賃の支払義務を負います。

 問題は、①家主が代わったこと、②居住していた社員が「会社の印鑑を利用して勝手に更新契約を交わし」たことが、このことにどういう影響を与えるかです。

 まず、家主が代わったこと(建物所有権が譲渡されたこと)(①)について、借地借家法31条1項は、「建物の賃貸借は」、「建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる」と定めています。したがって、建物の賃借人は、実際にその建物に住んでいれば、建物の所有者が交代したとしても、新しい家主との間で、もともとの賃貸借契約を継続できることになります。そのため本件では、家主が代わったことは賃貸借契約に特に影響を与えません。

 では次に、居住していた社員が「会社の印鑑を利用して勝手に更新契約を交わし」たこと(②)の影響を考えます。まず、建物の賃貸借契約は、賃貸借期間が終了したとしても、原則として自動的に更新されます(借地借家法26条1項)。そうすると、ご相談の事案では、仮に、社員が勝手に更新契約を交わさなかったとしても、賃貸借契約が自動的に更新される場合には、会社は引き続き家賃を支払わなければならなくなります。

 では、ご相談の事案が、自動更新がない契約内容であったと仮定しましょう。この場合、会社を代理する権限のない社員が勝手に行った更新契約は、原則として無効なので、会社は家賃の支払義務を負わないようにも思えます。しかしまず、表見代理の規定(民法109条、110条)により、その社員が会社から代理権を有効に与えられていると、家主が過失なく信じた場合には、契約は有効とみなされる場合があります。これは取引の安全を守るためです。過去にその社員が会社を代理して賃貸借契約を締結していたり、使用した印鑑が会社の実印だったりした場合には、表見代理が成立する可能性は高まるでしょう。

 

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