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<民論団論>日本サッカー李忠成の活躍 重国籍でも出自隠すな

鄭秀鎬(団体職員)

 「サッカー日本代表、在日4世李忠成の決勝ゴールでアジア杯優勝」。日本国籍を取得した在日同胞がヒーローとなったこのニュースは日本だけでなく韓国でも大きな話題を呼んだ。

 父・鉄泰さんの影響もあり、幼少期からサッカーボールを蹴り始めた李忠成は、伝統を持つ東京朝鮮第9初級学校(杉並区)に入学した。しかし、サッカーの実力を磨いたのは日本のクラブチームだった。鉄泰さんも伝統ある東京朝鮮高級学校サッカー部出身だ。

 鉄泰さんと同じサッカー部出身者に聞いたところ、「朝高サッカー」の限界を感じ、わが子の将来を考え、広い視野のサッカーをさせたいと、クラブチームに行かせる親は少なくないという。

 忠成はU19韓国代表候補のトレーニングキャンプにも招集され、「コミュニケーションをうまくとり、いろいろな経験をつんで帰ってくる」との決意で韓国に渡った。

 韓国語が得意でない忠成に待ち受けていたのは「在日=パンチョッパリ(半日本人)=日本人」という、韓国伝統の「余所者扱い」という洗礼だった。柔道の秋山成勲とよく似ている。

 五輪やワールドカップ出場はサッカー人にとって大きな夢。韓国でのトレーニングから帰ってきた李忠成は五輪日本代表、反町監督の勧誘で帰化申請。忠成は夢を実現するため22歳で日本国籍を取得した。ただし、民族名はしっかり維持した。

 これとは反対に、高校から韓国にサッカー留学し、昨年の女子U20W杯に韓国代表として活躍した在日4世の康裕美さんの場合はどうだろうか。もちろん、日本の学校に通い続け、韓国語も得意でなかった。当然、「パンチョッパリ」扱いもされたし、練習を含め生活の中で手厳しい洗礼も受けたはずだ。

 父母から「つらかったら帰ってこい」とも言われたが、彼女は、「私も韓国人。絶対残って一人前になってみせる」と弱音を吐かずに「アウエー」の中で頑張り続けメキメキと実力をつけた。その根性を監督が高く評価、代表候補に抜擢した。

 85年の国籍法改正によって、父母のどちらかが日本国籍の場合、22歳までは重国籍を所持できる。ただ、手続きの複雑さもあり、ほとんどが日本国籍者のままになる。国際結婚が多くを占める今、このような潜在的重国籍同胞が増え続けることは否めない。

 康裕美、李忠成、どっちの生き方が正しいとは言い切れないが、忘れてならないのは自分の出自を隠さず、堂々と生きていくことだ。その意味で、忠成の活躍が新たな勇気を与えた。

 ソフトバンクの孫正義、参議院議員の白眞勲などが先駆者となってきたように、民族名を堂々と使用して生きていくことが、当たり前のようになってほしい。

(2011.2.9 民団新聞)
 

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