「黄金の魚」「笑ってトンヘ」「私の期限は49日」エトセトラ…。ある日のテレビ番組欄です。ざっと見渡しただけでも14本が放映中です。最近はタイトルで、韓国ドラマだと分かってしまうほど。 最新の流行や街の佇まい、季節の移ろい、恋模様が美男美女と共に映し出されます。韓国語の音楽性と響きの美しさやエンディングの絶妙さから次回がつい気になってしまって。 K‐POPの歌と踊り、グルメからコスメ、新大久保のガイドまで実にメニューが豊富。今や日本のみならず、欧米やアジア圏にも拡大されているブームに対して、最新の朝鮮日報では海外公演より、韓国にファンを呼ぶことを論じていますね。 NHKでは「韓流ゴルフ日本を席巻」と題して、韓国ゴルフのリポートがありました。ゴルフなど全く門外漢で何の知識もないのに、気がかりで観ていました。 男女の連続賞金王の紹介の後に、中高生が登場します。すでに将来のプロを目指して、練習に励む精神力にはオドロク! 父親が片道2時間はかかる練習場まで、連日付き添います。民間銀行では彼らに奨学金を給付し、支援を惜しみません。官民一体の強力な支援態勢です。 欧米に中東、アジア圏では、車や家電などが日本製品より売れる訳を探索するリポートなど、枚挙に暇が無い程です。最初から世界市場を目指す攻勢力には、主役になろうとする精気に満ちています。 Nさんは日本人と結婚し、韓国からやって来ておよそ20年になる知人です。私、絶対に彼女には勝てないんです。なんてたって子供を8人も産みましたからね。何気なく文句を言うと、間髪入れず嵐がうねります。旦那様は見るからに優しく大人しそうね。お家でも先ず、勝てないんだろうなあ。間違いなし。 末っ子のKちゃんは、一人遊びがお上手な3歳で、時折り差し入れにくっついて来ます。 キムチやトック、ナムルに混じって、ある日は韓国土産の부침가루、묵가루、また節分には巻き寿司なども。お寿司も作るんだ。でもことに묵가루は懐かしい味で、ふと若き日の母を思い出すんです。秋になると を作るため手を引かれて、二人でお城公園へ団栗拾いに行ったりしたものよ。 旬なアーティストやスターたちは素敵で、画像から日々のつまらないゴタゴタを忘れさせてくれます。でも距離があるよね。 振り返るとNさんは太陽の下で怒っている時も、美味しさを届けてくれる夕暮れ時も変わらず愛嬌があり情があって、常に私にはないパワフルさ。 それって身近な韓流そのものじゃないのかしら。 李正子(歌人) (2011.12.7 民団新聞) |