「おい、おい、おい。なんだ、これは! どうして!」 松岡正剛『誰も知らない世界と日本の間違い―自由と国家と資本主義』(春秋社)を読んでいて、「1950年代にアメリカが介入して朝鮮戦争がおこり、南北朝鮮が分断されてしまったのは」(224ページ)、「マッカーサーによる朝鮮戦争の問題」(253ページ)との記述に出会った時である。思わず、そのように叫んでいた。 松岡氏(編集工学研究所所長)は、日本文化はもとより中国、韓国(朝鮮)を含め世界の文化・歴史に通じている博覧強記の人として知られる。それなのに一体どうしたことか。 史実としての「朝鮮戦争」(韓国戦争)は北韓・金日成による奇襲南侵によって50年6月25日に引き起こされた。しかも、韓半島は45年の日本植民地からの解放時点で米ソによって南北に分断され、48年には双方にそれぞれ政府が樹立されている。 この記述を見て、12年前の夏、「50年には(中略)、米軍を主軸とする国連軍の派遣で朝鮮戦争が起きた」との日本経済新聞の記事(2000年6月28日付け夕刊「韓国特集」)をめぐる担当部デスクらとのやりとりが思い起こされた。 日経側は、それが史実とは異なる「新説」(重大な誤り)との認識に欠けていたのか、「明確な間違いではないので訂正の必要を認めない」と訂正を拒否した(00年7月5日付、8月2日付「民団新聞」)。 松岡氏の著書は、『17歳のための世界と日本の見方』の続編だ。「セイゴオ・ワールド」のファンは少なくない。早い機会の訂正を期待したい。韓日関係の歴史で、似たような間違いはほかにないでしょうね。(Y) (2012.8.29 民団新聞) |