65周年式典には、創団に馳せ参じた元老級や次代を担う青年・学生たち、1世から4世までが顔をそろえた。会場正面には「65」の数字と、「夢を次世代へ」のスローガンがハングル、日本語、英語で大書されていた。スタッフたちに「準備、大変だったでしょう? ご苦労さんでした」と労いの言葉をかける参加者が目立った。 政府褒章や中央団長表彰の受章者のなかには、草創期に文字通り組織の屋台骨となり、そのために莫大な資産を費消し、事業を破綻させた方もいる。式典にはその方の長男Cさんとお孫さんが同席していた。 もし、アボジが民団にかかわらなかったら、その子どもたちは何不自由ない生活ができたはずだった。Cさんは「アボジを恨んでいないと言えば嘘になる」と語ったこともある。民団と距離をおいてきたばかりか、韓国や故郷とも疎遠になっていたという。 だが、歴史の掘り起こしによってアボジが栄えある受章者となり、Cさんたちの見方は変わり始めた。式典の最中にそれは、より明確に意識されるようになったようだ。 Cさんは、「民団史のDVDや各界からの民団へのビデオメッセージなどによって、民団の果たしてきた役割の大きさを知った。父がこういう組織のために献身し、土台の一角をつくったことは自分の誇りだ」と語り、お孫さんを紹介しながら、「この子もアイデンティティーに悩み、自己否定するところがあった。けど、ハラボジの業績と民団を知って、意識の方向が180度変わってね」と微笑んだ。 礼儀正しく挨拶するお孫さんの顔に、民団の将来が映し出されているように思えた。(P) (2011.11.23 民団新聞) |