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孫基禎とスポーツ・平和 寺島善一(明治大学教授)
 孫基禎先生はいうまでもなく、1936年のベルリン五輪のマラソン優勝者である。

 しかし、この優勝ゆえに、苦しみが始まった。植民地支配の中で鬱屈としていた韓国人にとって、孫さんの優勝は、民族の優秀さを世界に広く知らしめ、勇気づけたことは、想像に難くない。民族独立のシンボルになったのも必然的だ。が、このことで特高警察に付きまとわれることになった。

 37年、明治大学に合格した孫さんに、またもや政治の力が加わった。国家権力は一切のスポーツ活動を禁じたのである。亡くなる直前に、子息の正寅さんに「箱根駅伝を一度走ってみたかった」と言われた。走ることが好きでたまらない孫さんに、一切のスポーツを禁じた「政治」の酷さを、今日、改めて思い起こさずにはいられない。

 孫さんは植民地支配の中で受けた自身の苦難を恨み、日本を罵ることはなかった。それどころか、スポーツを通してできた大島鎌吉、田島直人ら友人たちと戦後も親交を深められ、スポーツによる世界の青年たちの相互理解が、世界平和に寄与することをあらゆる機会に力説されていた。

 そうした孫さんにとって、ソウル五輪とサッカーW杯の日韓共催は、長年の「夢」が、実現したと言っても過言ではあるまい。特に、W杯は日韓の若者が肩を組み合って、相互の応援をした。孫さんが強く願っていた日韓のスポーツを通した青年の友好・連帯を、確実に示すものであった。それを見届けられて亡くなられたことと思う。孫さんの遺志を継ぎ、日韓の、東アジアの、スポーツによる友好と連帯の絆を強めたいものである。

(2004.2.18 民団新聞)
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