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鵲のこころ<7> 「助けるのは当然のこと」

 3月11日の夕方、教職員食堂で食事をしていると、学生から、私の日本の家族や知人の安否を気遣う電話があった。学生は慌てた様子で何度も「だいじょうぶですか」を繰り返したが、私は、何のことかわからなかった。 しかし、「日本で大きな地震があったんですよ」と聞き、すぐに自宅に戻りテレビをつけた。そこには現実とは思えないほどの悲惨な状況が映っていた。多くの方が犠牲になり、今も多くの方が不便な避難生活を余儀なくされている。また、原子力発電所の事故も予断を許さない状況にある。

 韓国のメディアは、大震災の発生直後から連日、大きく報道している。新聞にも、「がんばれ、ニッポン」と日本語で書かれた応援のことばがみられた。日本を気遣い、励ます見出しが目立つ。そして、韓国はどこよりも早く日本に向けて救助隊と救助犬を派遣した。

 日本から来ている教員や留学生を心配し、多くの人が声をかけてくれたが、なかでも20年近く連絡が無かった日本学科の元助手からの電話には驚いた。また、すぐに学生たちの被災地への募金活動も始まった。総長もメールで全教職員に募金を呼びかけた。

 翰林大は日本の大学や地域と提携を結び、交換留学生、語学研修、ホームステイなどの交流プログラムを実施。現在、4人の日本人留学生がいるが、テレビで地震のニュースをみて、みんな涙が止まらなかったという。

 教員の中にも提携校に滞在し、研究した経験のある人たちもいる。それで、日本学科をはじめとして、日本に提携校がある学科の先生方は、すぐに日本とメールで連絡をとったようであるが、なかには直接電話をして、「何かできることはありませんか。必要なものはなんですか」と尋ねていた先生もいた。

 電話を切ったあと「困った時に助けるのは当然のことだ」と大きな声で言っていたのが印象的だった。韓国には韓国日本学会などの日本語関係の学会があり、会員の多くは日本で勉強をした人々だ。これらの学会も被災者を応援するための募金を呼びかけた。

 ここでは、韓国の私の周囲の様子だけを紹介したが、今、世界中にこのような状況があるのではないかと思う。世界の人々と力を合わせてこの未曾有の危機を乗り切り、すべての人々が安心して暮らせる日本を一日も早く取り戻して欲しいと思う。

 このたびの東日本大震災でお亡くなりになられた方々のご冥福を、心よりお祈り申しあげます。

齊藤 明美(翰林大学校・日本学科教授)

(2011.4.6 民団新聞)
 

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