韓流の勢いが衰えるどころか、日に日に勢いを増してきていることを、生野区であらためて実感した。 一本の道路を挟んで韓流商品を扱う店が軒を並べている。確か、つい最近まではキムチ屋さんをしていたはずだ。店内にはK―POPのポスターやCD、アクセサリー、Tシャツなどで所狭し。いまや観光客が押し寄せる名所となっている。 「ねぇねぇこのお店よね?」と、50代とおぼしきアジュモニの一行。宝物のようなオモチャをようやく見つけた子どものようにはしゃいでいた。その表情は輝いていた。 「イ・ホンギ、かっこいい」「やっぱりチャン・グンソクよねー」と話す顔はまるで女学生のよう。声も1オクターブはうわずっていた。 大好きな人のものなら、すべてそろえたいというのがファン心理。レジの前はタオル、靴下、ネックレスが山積み。その表情は恋する乙女そのものだった。目の錯覚なのだろうか、肌の色つやもいちだんと輝きを増したかのようだ。 韓国ドラマ「冬のソナタ」から始まった韓流ブーム。その昔、「朝鮮人」「キムチ臭い」と差別された時代の人たちが、こういったブームの訪れを想像できただろうか。いまや韓流はなくてはならないほど人々に浸透し、「若さの秘訣」にまでになっている。 夕方になり、「もう帰る時間!?」と残念そうに話すアジュモニたち。シンデレラのように幸せそうだった表情がいつのまにか、魔法が解けたかのように年相応のものにもどっていた。「さっきはやっぱり目の錯覚だったんや」と苦笑しながら店をあとにした。(L) (2012.5.9 民団) |