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お正月は年明けと共に「おめでとう…」の祖母へのあいさつで始まり、早朝の茶禮へと続く。その準備には常に祖母が指揮をとり、伯母や母のほか4人の叔母たちがそれに従った。
子どものころ、茶禮のための早起きは辛かったが、年長者の後ろ姿に茶禮の手順を復習し覚える緊張感と一人で立派にやり遂げたい願いや、やり遂げる喜びが存在していた。
韓国では本来、茶禮は男性だけで行われ、儀式簡略化により集団で一度に執り行われているが、わが家は日本に暮らす家族は少ないからと、女、子どもも皆が一人ずつ行っている。そして、茶禮床にはトックの代わりにお雑煮が供えられ、状況に応じて韓国式と日本式が共存する。
結婚し、今は嫁としてほぼ毎回徹夜で茶禮の準備を行うが、正直、大変と思う。しかし、先祖や家族を思い作る調理時間も、茶禮を過ごす一日も特別に思われ、それを止めたいとは思わない。
婚家は今年から新正月での茶禮に変わった。今後も家族の状況に合わせて変わっていく。今は舅姑の下に行われる茶禮だが、将来、夫の代にはどんな姿になっていることだろう。
私が今、徹夜で作業を行えるのは幼少時より見て触れ、家族と共にした時間があったからこそ。
そこに伝統が引継がれるということ、そのために必要なことも見えてくる。
命の尊厳や家族、人間関係の希薄になる今こそ大切に伝えていきたい習わしである。
駐日韓国大使館
韓国文化院職員
(2008.1.30 民団新聞)
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