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<布帳馬車>歴史が旨い東松山の「焼きとり」  
 「焼きとり」には地域の歴史・文化が映る。素材に豚を用い、コチュジャン風の味噌ダレで食べる埼玉県東松山市のそれは、歴史もひと味違う。
 
 敗色濃厚となった44年頃から、この地で進められた各種の軍事施設づくりに朝鮮人が動員された。東松山駅から徒歩30分ほどの吉見百穴地下軍需工場もその一つ。大手建設業者が請け負い、その下請けが朝鮮人を集めた。1日3500人ほどの突貫工事だった。
 
 その多くは強制連行で日本に来た。理解しにくいかも知れないが、強制労働の現場から逃亡した朝鮮人は、見つかれば半殺しだが、逃げ切れば後の追跡はなかった。全国の工事現場の末端には朝鮮人の飯場頭がいて、そこに集まったのである。
 
 「敗戦」「光復」から間がない45年11月、この地に在留した朝鮮人は3970人。埼玉県全体の25%を占めていて一番多い地域だった。吉見では事故も死者もなく、地元の農作業を手伝うなど、とても良好な関係があったという。これも忘れてはならないことだ。
 
 駅から15分ほどに一軒の店があって、この先代が元祖とされる。軍需工場のあった熊谷・本庄から東松山に来て、友人と工夫してつくったのが、手に入れやすい豚の内臓などを中心に、日本の味噌を使い唐辛子のきいたタレで食べさせる「焼きとり」だった。
 
 東松山の「焼きとり」は、苦難のなかでも民族の味を忘れず努力し、地域の日本人も偏見や差別に惑わされず、育ててきた豊かな果実の一つといえる。この「焼きとり=焼きトン」は、沿線の川越、池袋、さらには関東、全国へと広がり、今や居酒屋文化に欠かせない。

(江藤義章・「埼玉・コリア21」代表)
 
(2015.8.26 民団新聞)
 
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