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<布帳馬車>やはりマツリゴトは欠かせない

 親友と街中をランニング中のことだ。どこからともなく心地好いざわめきが聞こえてきた。耳をすませば、神輿の渡御ではないか。すぐさま駆け寄り、「おいさっ!おいさっ!」と手拍子とともに声をあげた。ふたりともさぞかし担ぎたそうな顔つきだったに違いない。それに気付いたひとりの女性が手招きして渡御に加えてくれた。

 袢纏はおろか、足袋ではなくスニーカーで担がせてもらえるとは。恥も外聞も捨て、もはや盛り上げることに専念するのみ。結局最後まで盛り上がって担ぎきってしまった。ちゃっかり接待まで受け、ランニングと担ぎによる空腹を愛情の込もったカレーと御神酒で満たし、温もりに包まれた時を過ごせた。 僕は神輿を担ぐために在日に生まれ育ったのではないかとさえ思うほど、日本の伝統文化である神輿の礼儀ともてなしの心に真底惚れた。

 そんな祭り事が大好きな僕は祭祀もまた、大好きだ。祭祀は日本でいうところの法事で、韓国では祭りを祀ると書いて「チェサ」と読む。祖先に対して礼儀を尽くす祭祀。年に数回の、家族愛と感謝の気持ちにあふれる日。厳粛な雰囲気の中、一族代々の写真を前に腕によりをかけて作られた料理、肉や魚、色とりどりの果物などを並べ、お酒をかえたり、幾度も心を込めて家族揃って跪いて礼をする。心の中での祖先との対話は極めて大事な時に思える。もちろん近所への供物のおすそわけも忘れない。

 動の神輿と静の祭祀。ともに僕の心に平穏をもたらしてくれる。何かを担ぎ何かを祀る。誰の人生においても必要なことだと思う。神輿と祭祀は敬う気持ちがあってこそ。この文化を脈々と守っていきたい。(K)

(2012.9.26 民団新聞)
 

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