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<寄稿>女子高生のK−POPレポート…宋知殷

韓日の未来へ新風
感性磨き合い、歴史も意識

 K‐POPや韓国の俳優が日本の若者を魅了している。韓国で生まれ、いまは日本の高校に通う宋知殷さんが、韓流の現在と将来について同世代の若者にインタビューした。宋さんは、「韓国と日本は難しい問題を抱えているけれど、お互いの文化を知ることで理解しあえるはず」と、将来に期待を寄せている。

 流行に敏感な高校1年から3年生の女子高生12人に韓流について聞いた。すべて私と本音を言い合える部活の後輩、クラスメイトたちだ。ほとんどがK‐POPに興味があると答えた。なかでも、KARAや少女時代といったガールズグループは、全学年に共通して人気があった。

 「歌唱力がすごい」「ダンスがかわいい」「かっこいい」「顔もかわいいし、スタイルもきれい」「私もあんな風にきれいな人になりたい」と話す。女性の理想像として見ているようだ。

 韓流が流行ったことに対して、どう思うかを聞いた。「日本の芸能人がくすんで見える」「K‐POPを聞くとJ‐POPがすごくおとなしく聞こえる」など、日本の芸能界と比較する意見が多かった。

「在日」をも覚醒

 なかには、「日本で韓流が流行ったことで、日本と韓国の交流が深まったような気がするのは嬉しい」というものもあった。一方で、「韓流スターが日本で活動しているのは、韓国が日本をちょっとは許してくれたのかな? そうだと嬉しい」という感想には少し、驚かされた。

 しかし、K‐POPにそれほど興味がないという生徒たちは、「韓国のものもいいけど、やっぱり日本の曲の方が親近感があってよい」「ドラマも、曲も、全部似通っている」「なにか、一気に韓流が増え、必死に売り込もうとしているみたいで嫌」などの厳しい意見もあった。

 そして、韓流が好きな子も、興味がない子にも共通していたのが、「韓流は今はすごい人気だけど、あと2、3年で人気が落ちて消えちゃうと思う」という意見だった。なぜそう思ったのかを聞くと、「最近は同じようなグループが多くて、飽きそうだから」というのが共通する答えだった。これが女子高生たちの正直な意見である。

 在日の子や日本に住んでいる韓国人の女子高生にも同様の質問をした。「クラスメイトや友だちから韓国語を教えてほしい、K‐POPの歌詞を訳してほしいと頼まれるようになり、自分が韓国人であることを再認識した」という答えが返ってきた。2歳から日本で暮らしている私も、韓国について友人に聞かれるようになり、そこまで深くは知らなかった韓国について、自分で調べるようになった。韓流は日本人だけでなく韓国人にも影響を及ぼしていた。

 韓流は日本の芸能界に新しい風を吹き込み、日本人の心をつかんだ。そして日本の若者たちは韓国の文化、社会にも興味を抱くようになった。

隣国だからこそ

 さらに、日本だけではなく、韓国にも変化が見られるようになった。韓国に住んでいる友だちによると、嵐やKAT‐TUN、宇多田ヒカルなどのJ‐POP歌手や、日本のアニメも大人気であることがわかった。韓国人と日本人が共演したドラマや映画も、多数公開されている。韓国と日本は確実に歩み寄っているようだ。

 韓国人にとっては忘れることのできない日本による植民地支配をはじめ、独島問題、公立中学校の歴史教科書問題など、韓国と日本は隣国ゆえの問題を抱えている。しかし、隣国だからこそ、わかり合える部分も必ずある。

 文化がその一つだ。お互いの文化を知ることでお互いを理解し、困ったことは助け合い、ライバルとして切磋琢磨していけるようになるのではないだろうか。いずれ、日本からK‐POPブームが去っても、今の若者たちが生きているうちは、韓国と日本の親近感は消えないはずだ。

■□
プロフィール

 宋知殷(そん じうん)1995年3月17日生まれ。17歳。2歳の時に父親の仕事の都合で日本に移住。公立小学校卒業後、都内の私立女子中学・高校一貫校進学。現在は韓国の大学へ入学するため受験勉強中。

(2012.7.11 民団新聞)
 

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